3月第一週は米国での研究の総仕上げでした。
火曜日と水曜日に、ETSの創設に関わった方3人にインタビュー。
水曜日には机をもらったRoom 5のみなさんとお別れのランチ。
木曜日はETSのみなさんとちょっとしたお別れ会。午後にはwebcast.Berkeleyの担当者のBenさんとコーヒーを飲みながら話をする。今後いろいろとコラボレーションできればいいねと話をする。
木曜日の夜中にレポートを書き上げ、最終日の金曜日にはディレクターに提出、いろいろと話をする。午後にはYWCAで英語の先生と最後のレッスン。といった感じでバタバタと終わりの時間を迎え、帰宅。
それから週末・3月の第2週にかけて、アパートの片付け・引越し、日本への移動、日本の新居の引越しを慌ただしくこなし、今週から職場に復帰しました。
これで「At Cal」もおしまい。ちょうどエントリー数が50となり、キリもよくなりました。ミッション達成率は70%程度、あとは向こうで書いたレポートのフルヴァージョンを書く予定。
今は東大での仕事と東京の新居の片付けに追われていますが、まずは滞在が無事すんで一安心。日米双方でお世話になった、ご支援頂いた方々、本当にありがとうございました。
カテゴリ「海外研究に向けて」はもう少しエントリーを増やす予定。(忘れないうちに)
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3/18 追記
「達成度90%」はさすがに高すぎるので修正。70%くらいだろうか。
・研究者の人脈は思うほど広げられなかったので、40%中10%減。
・書き上げたレポートがフルバージョンではなかったので、30%中10%減。
・英語力にやはり不安が残ったので、これも30%中10%減。
精一杯頑張った気はしますが、冷静になり振り返るとなかなか難しかったなぁというのが実感です。
重田勝介のページ・オープンエデュケーションと教育工学
Katsusuke SHIGETA・Open Education and Educational Technology
2010/03/18
2010/02/22
あと二週間:形からでなく、原理から学ぶ
帰国まであと二週間となりました、早いものです。最近は引越しの準備、研究の仕上げを進めています。今月は学会に参加したほかは、私のいるETSに関する資料整理、スタッフや元ディレクターへのインタビューに追われています。予定ではあと2回インタビューがあり、そのあと原稿が書き上がれば、滞在も終わりです。
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今日はこちらで知り合いになった方のラボを訪ねました。彼女はターシャさんといい、UCBでバイオメカニクス、その中でも昆虫の歩行の研究をしています。まだ二十代前半ですが、既に研究者として独り立ちをしている大変優秀な方です。
ラボのWebSite:Poly-PEDAL
http://polypedal.berkeley.edu/cgi-bin/twiki/view/PolyPEDAL/WebHome
そこで昆虫の動きや筋肉(!)を計測する機材を見ながら研究の話を聞いたのですが、そこに昆虫のロボットがありました。最近は研究成果を活用して、災害援助や人名救出を人の代わりに行うロボットが企業や軍により開発されているそうです。ロボットの写真を、その働きをまねた昆虫と並べたポスターを見ていると、二つの足の数は多少似ているものの、足の構造や動かし方が全く違うことに気がつきました。
不思議に思い理由を尋ねてみると、昆虫の歩行をロボットに当てはめるとき、形状を真似るのではなく、彼らの歩行する仕組みをモデル化し適用させるのだそうです。というのも、昆虫とロボットでは足の数こそ同じでも、体を構成し、それを動かす素材が全く違います。加えてロボットの場合は、目的に応じた環境(走行路面など)に最適化したり、カメラや救急箱など機材を載せることもありますから、昆虫の仕組みをそのまま当てはめてもいいロボットができないとのことでした。一部の企業では形を完全に真似て原理を理解しようとしなかったりもするそうですが。
この話は私にとって、とても励まされるものでした。私はUCBで、大学コミュニティのEducational Technology(「教育工学」とは訳しづらい)利活用を包括的に支えるETSという組織に魅了されました。そして私はいま、その組織の形やシステムを知るだけでなく、それがいつ、なぜ、どのような理由で、何を目指して作られたのかを明らかにすることに焦点を当てています。それは、仮にここで知り得たことをどこかで役立てるとき、形や機能だけをまねるのではなく、その原理やモデル、それが作られた背景を知ることで、異なる環境、新しい状況により意味のある形で適用することができるはずだ、と信じているからです。
違う場所でも、同じようなことが言える。そんな嬉しい体験をした一日でした。休日にも関わらずラボを案内してくれたターシャさん、ありがとうございました。
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今日はこちらで知り合いになった方のラボを訪ねました。彼女はターシャさんといい、UCBでバイオメカニクス、その中でも昆虫の歩行の研究をしています。まだ二十代前半ですが、既に研究者として独り立ちをしている大変優秀な方です。
ラボのWebSite:Poly-PEDAL
http://polypedal.berkeley.edu/cgi-bin/twiki/view/PolyPEDAL/WebHome
そこで昆虫の動きや筋肉(!)を計測する機材を見ながら研究の話を聞いたのですが、そこに昆虫のロボットがありました。最近は研究成果を活用して、災害援助や人名救出を人の代わりに行うロボットが企業や軍により開発されているそうです。ロボットの写真を、その働きをまねた昆虫と並べたポスターを見ていると、二つの足の数は多少似ているものの、足の構造や動かし方が全く違うことに気がつきました。
不思議に思い理由を尋ねてみると、昆虫の歩行をロボットに当てはめるとき、形状を真似るのではなく、彼らの歩行する仕組みをモデル化し適用させるのだそうです。というのも、昆虫とロボットでは足の数こそ同じでも、体を構成し、それを動かす素材が全く違います。加えてロボットの場合は、目的に応じた環境(走行路面など)に最適化したり、カメラや救急箱など機材を載せることもありますから、昆虫の仕組みをそのまま当てはめてもいいロボットができないとのことでした。一部の企業では形を完全に真似て原理を理解しようとしなかったりもするそうですが。
この話は私にとって、とても励まされるものでした。私はUCBで、大学コミュニティのEducational Technology(「教育工学」とは訳しづらい)利活用を包括的に支えるETSという組織に魅了されました。そして私はいま、その組織の形やシステムを知るだけでなく、それがいつ、なぜ、どのような理由で、何を目指して作られたのかを明らかにすることに焦点を当てています。それは、仮にここで知り得たことをどこかで役立てるとき、形や機能だけをまねるのではなく、その原理やモデル、それが作られた背景を知ることで、異なる環境、新しい状況により意味のある形で適用することができるはずだ、と信じているからです。
違う場所でも、同じようなことが言える。そんな嬉しい体験をした一日でした。休日にも関わらずラボを案内してくれたターシャさん、ありがとうございました。
2009/12/30
12月の近況
早いもので2009年も残りわずかとなりました。12月は2回出張があり、その合間にUCBでの研究活動を進めました。

12月最初の週末はロサンゼルス近郊、Orange CountyにあるUC Irvineに、UCI OCWのディレクタを務める傍らでOER(Open Educational Resources)の再利用の研究をしているLarry Cooperman氏を訪ねました。実は以前学会でお会いしたことがありましたが、今回は長時間にわたりお話を伺いました。彼のプロジェクトでは以前、複数のOCW教材から、必要な部分を抜き出して組み合わせる再利用のやり方をしていたが、その方法には版権処理や教材の文脈が失われてしまうなど問題も多く、最近は色々と試行錯誤しているようです。
OERの再利用研究には、Connexionのような再利用が行いやすいプラットフォームを構築する方法、ミシガン大学のdScribeのような学生が教員をサポートする方法、あとは少し方向性は違いますが教材をまるごと翻訳して開発途上国など教育リソースの不足している地域で使う方法、少なくともこの三種類の流れがあるらしいという大枠までは掴めてきました。残りの滞在中にさらに情報収集を進める予定です。

その次の週末は、UWの大浦さんと一緒にMITの飯吉先生を訪ねました。MITでのディスカッションも滞在中の大浦さんとの情報交換もとても有意義でした。一泊三日の強行スケジュールでしたが、東海岸まで出かけた甲斐がありました。
UCBでは、私が客員研究員として席を頂いているETS(Educational Technology Service)の組織そのものの研究をしています。このETSはなかなか面白い組織で、学内の教員・学生のICTを使った教育支援を、CMS利用のコンサルティングに電子教材の製作、講義のインターネット配信、果ては教育イベントのサポートや機材の貸し出しまで、テクノロジーに関わる教育支援を組織的に包括的に行っています。
このような組織がいわゆる学内情報センターや教育学部と独立して存在しているのは、米国でも珍しい組織形態です。ETSは10年前にいくつかの組織が統合され今の形になりましたが、それまでには数十年にわたる学内外における様々な経緯や社会的背景がありました。今後日本での組織的なテクノロジーを使った教育支援を考えるにあたっても、このような事例は今後の方向性を考える上で参考になるかもしれません。ただ形をまねるのではなく、その背景にある歴史や背景を知った上で日本にあてはめる、そのような取り組みに少しでも役立つような研究ができればと考えています。OER再利用の研究は帰国後も続けますが、ETSの組織研究は滞在中に何らかの形にまとめて持ち帰る予定です。
米国滞在も残り2ヶ月強となりました。成果を上げて帰れるよう、悔いのないように頑張ります。
12月最初の週末はロサンゼルス近郊、Orange CountyにあるUC Irvineに、UCI OCWのディレクタを務める傍らでOER(Open Educational Resources)の再利用の研究をしているLarry Cooperman氏を訪ねました。実は以前学会でお会いしたことがありましたが、今回は長時間にわたりお話を伺いました。彼のプロジェクトでは以前、複数のOCW教材から、必要な部分を抜き出して組み合わせる再利用のやり方をしていたが、その方法には版権処理や教材の文脈が失われてしまうなど問題も多く、最近は色々と試行錯誤しているようです。
OERの再利用研究には、Connexionのような再利用が行いやすいプラットフォームを構築する方法、ミシガン大学のdScribeのような学生が教員をサポートする方法、あとは少し方向性は違いますが教材をまるごと翻訳して開発途上国など教育リソースの不足している地域で使う方法、少なくともこの三種類の流れがあるらしいという大枠までは掴めてきました。残りの滞在中にさらに情報収集を進める予定です。
その次の週末は、UWの大浦さんと一緒にMITの飯吉先生を訪ねました。MITでのディスカッションも滞在中の大浦さんとの情報交換もとても有意義でした。一泊三日の強行スケジュールでしたが、東海岸まで出かけた甲斐がありました。
UCBでは、私が客員研究員として席を頂いているETS(Educational Technology Service)の組織そのものの研究をしています。このETSはなかなか面白い組織で、学内の教員・学生のICTを使った教育支援を、CMS利用のコンサルティングに電子教材の製作、講義のインターネット配信、果ては教育イベントのサポートや機材の貸し出しまで、テクノロジーに関わる教育支援を組織的に包括的に行っています。
このような組織がいわゆる学内情報センターや教育学部と独立して存在しているのは、米国でも珍しい組織形態です。ETSは10年前にいくつかの組織が統合され今の形になりましたが、それまでには数十年にわたる学内外における様々な経緯や社会的背景がありました。今後日本での組織的なテクノロジーを使った教育支援を考えるにあたっても、このような事例は今後の方向性を考える上で参考になるかもしれません。ただ形をまねるのではなく、その背景にある歴史や背景を知った上で日本にあてはめる、そのような取り組みに少しでも役立つような研究ができればと考えています。OER再利用の研究は帰国後も続けますが、ETSの組織研究は滞在中に何らかの形にまとめて持ち帰る予定です。
米国滞在も残り2ヶ月強となりました。成果を上げて帰れるよう、悔いのないように頑張ります。
2009/11/29
ここしばらくの近況
2週間ほど、更新をお休みしました。最初の一週間は、前半はこちらでの研究の文献調査に充てました。しかし後半は、学費値上げ(州内学生は25%値上げ!)に対抗して起こった学生ストライキでUCBは大混乱。金曜日には学生が校舎を占拠し、学内の警察に加えて地元の警察も出動する騒ぎになり、私の部署も業務中止になりました。

カリフォルニア州はシリコンバレーもあり一見明るいイメージですが、経済状況は全米でもフロリダ州などと並んで最悪の状況で、失業率も11月時点で12.5%に悪化。UCBも美術館の改築を延期したり、私の部署ではオフィスのゴミ回収や掃除のサービスの休止(つまり清掃従業員の解雇)など、UC System全体含め、いろいろな所に影響が出ています。日本も大変なようですが、米国も状況は深刻です。
後半の一週間は、こちらでは感謝祭の週で木曜日から4連休。YWCAで英語を習っている先生のお宅に伺い、七面鳥など米国の伝統的な感謝祭を祝う料理をごちそうになったり、家で久しぶりにSTAR WARSシリーズを見直したりなど、ゆっくりと過ごしました。
その合間にも、日本で進めている研究の実証実験の準備を進めました。先日2回目のワークショップを行いましたが、私が帰国できなかったため、日本の研究協力者の方々に中心となって進めていただきました。研究協力者の方々、そしてワークショップにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

今週末で、滞在期間のほぼ半分を消化した計算になります。出国前に滞在プランを立てていましたが、消化できていないタスクもいくつかあります。私の滞在目的は主に二つあって、一つはオープンな教育リソースの再利用の研究、もう一つはICTを活用して教員を支える組織の研究です。1つ目はこちらで先行事例を調査して日本に持ち帰りますが、2つ目は滞在中に論文とまではならなくても、何かの形にまとめたいと考えています。
あと3ヶ月、早いものです。もっと時間があればと思うこともありますが、性格上のんびり過ごしてしまうだけでしょう。残りの期間、自分を追い立てながら過ごすことにします。
カリフォルニア州はシリコンバレーもあり一見明るいイメージですが、経済状況は全米でもフロリダ州などと並んで最悪の状況で、失業率も11月時点で12.5%に悪化。UCBも美術館の改築を延期したり、私の部署ではオフィスのゴミ回収や掃除のサービスの休止(つまり清掃従業員の解雇)など、UC System全体含め、いろいろな所に影響が出ています。日本も大変なようですが、米国も状況は深刻です。
後半の一週間は、こちらでは感謝祭の週で木曜日から4連休。YWCAで英語を習っている先生のお宅に伺い、七面鳥など米国の伝統的な感謝祭を祝う料理をごちそうになったり、家で久しぶりにSTAR WARSシリーズを見直したりなど、ゆっくりと過ごしました。
その合間にも、日本で進めている研究の実証実験の準備を進めました。先日2回目のワークショップを行いましたが、私が帰国できなかったため、日本の研究協力者の方々に中心となって進めていただきました。研究協力者の方々、そしてワークショップにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
今週末で、滞在期間のほぼ半分を消化した計算になります。出国前に滞在プランを立てていましたが、消化できていないタスクもいくつかあります。私の滞在目的は主に二つあって、一つはオープンな教育リソースの再利用の研究、もう一つはICTを活用して教員を支える組織の研究です。1つ目はこちらで先行事例を調査して日本に持ち帰りますが、2つ目は滞在中に論文とまではならなくても、何かの形にまとめたいと考えています。
あと3ヶ月、早いものです。もっと時間があればと思うこともありますが、性格上のんびり過ごしてしまうだけでしょう。残りの期間、自分を追い立てながら過ごすことにします。
2009/11/15
「日本版EDUCAUSE」のススメ
ワシントンからデンバーに移動し、EDUCAUSE2009に参加した。
2009 EDUCAUSE Annual Conference | EDUCAUSE
http://www.educause.edu/E2009
EDUCAUSEは、情報技術の効果的な活用を後押しすることで、高等教育の発展に寄与することを目的とした米国の非営利団体。毎年大規模なAnnual Conferenceを開き、全米の高等教育の広い意味での「情報化」に関わる教員・職員・企業が参加している。いわゆる「学会」とはちょっと違う。NECC(National Educational Computing Conference)の高等教育版、と考えればいいかもしれない。
実は昨年も参加していたのだが、今年のEDUCAUSEでは面白い現象があった。参加者が'#educause09'のタグでTweetし、「ここのセッション面白い」「もう会場満杯」「この発言をRT」などと情報交換をしていた。私も調子に乗って参加し、同じ会場の人と発表に関係する論文を探したり、感想を言い合ったりしていた。
期間を通じて、テクニカルなセッションより、いわゆる「文系」に近いセッションの方がつぶやきが多かったようだ。いわゆる実況ではなく、「このセッションのここがよかった」というような、互いの良質な経験を共有し合う雰囲気ができていた。規模の大きい学会だったが、1日に500ポストは超えていたように思う。自分だけで見て回るより、たくさんの目で楽しめるのはいい。普段仲間内で遊んでいるTwitterとはまた違った使い方を楽しんだ。
---
日本でも以前から、EDUCAUSEのような組織を作ろうとする動きはある。昨今の日本の状況を踏まえると、「日本版EDUCAUSE」は一日も早く立ち上げられるべきだ。
現状、日本にEDUCAUSEのような組織はない。EDUCAUSEは情報インフラの最新事情からごく普通のテクノロジを使った実践まで、情報技術の教育利用に関わるもの全ての受け皿になっている。自分自身を振り返って、偶然同じような取り組みをしている人たちを見つけて驚くことは多い。幅広く情報共有ができる場を設けて互いに学ぶ機会を作ることには、とても意味がある。
EDUCAUSEでは、「これは研究」「これは実践」のような「枠」はない。このことが日本でのEDUCAUSEの理解を妨げているのかもしれないが、かの地ではその垣根が低く、段差は小さい。日本でEDUCAUSEを作るなら、どの「枠」で囲うべきかなどどいう議論をする前に、「枠」を意識せず、教育機関や教育産業から人や情報を集めることから始めるべきだろう。EDUCAUSEのような組織は、「研究をどう実践に根付かせるか」「実践からいかに研究を生み出すか」というサイクル、ひいては「教育学」のサステナビリティとスケーラビリティを担保する土台になりうる。
---
実はEDUCAUSEはワシントンDCにオフィスを持っており、ロビー活動を展開している。ロビー活動の全てがいいものとは思えないが、少なくとも政治との対話のチャンネルを組織立って用意することは、自分たちの政治や社会からの「見え方」を知るためにも役に立つ。
「私たち」にとって#shiwake3はいい経験だった。研究者と「社会」の間の対話や交流に力を注ぐことは、きっとこれからの学問と社会のために意義のあることだろう。
2009/11/03
At Cal: ワシントンDCにて
先週末からワシントンDCに滞在している。Fulbright Associationの年会に参加することが目的で、フルブライトOBによるシンポジウムやパネルディスカッションを聴いた。学問のためというよりは、いまフルブライターを経て活躍している人々の興味対象は何なのか、ということに関心があり出席した。開催場所がワシントンDCということで、渡航中に一度出かけたいという理由もありつつ。
出席してみて、この年会は議論の場というよりは、フルブライターOB同士の情報交換会(または、知識のアップデートの機会)の色合いが強いことが分かった。正直少し期待はずれだったが、いま彼らのイシューになっていることを知ることはできた。目立ったテーマは、国内問題だと不況からの脱出や健康保険の是非、国外だとエネルギーと環境問題や、開発援助の新手法、などなど。

学会の合間を縫って、スミソニアン博物館を回る。嫁さんは美術館を満喫したようだが、私は航空博物館を回るのが精一杯で、美術館は少し立ち寄っただけ。残念。
実は滞在中、ホテルの部屋に小額チップを置いていたのだが、ある日1ドル札が手元になくて、硬貨で置いて出かけたところ、帰ってきたら部屋が大変なことになっていた。残念なことに、私も嫁さんもチップを硬貨で残してはいけない(サービスが悪い、という意味になる)ということを知らなかったのだった。外国人なんだから、多少大目に見てくれよ…という気がしないでもなかったが、「郷に入りては郷に従え」、である。
米国に住んでいると、なんだか自分が世界の中心にいる気になってしまうのだが、その中心に元々住んでいる人たちからすると、そこは自分たちが生まれ育ってきたローカルな世界に過ぎない。いわゆる「外圧」が働きにくいせいか、その世界はグローバル世界の最先端というよりは、チップ文化が残っていたり単位もftやozを使い続けていたりと、変わらない部分を持っていたりもする。
私は米国に寄り添ってアメリカナイズされるつもりも、日本のしきたりが一番と思い込むつもりもないが、そうなると立ち位置がいささか怪しくなってくる。全てを相対化してしまうと何も言えなくなってしまうので、そうなると事象ごとに「これはこう思う」「こうすべきだと考える」と、個別に定義しなくてはならない。たびたび外国人としてそういう質問をされるわけで、米国に住むということは、そんな再考を四六時中求めらるような経験でもある。貴重ではあるが、なかなかに大変である。
出席してみて、この年会は議論の場というよりは、フルブライターOB同士の情報交換会(または、知識のアップデートの機会)の色合いが強いことが分かった。正直少し期待はずれだったが、いま彼らのイシューになっていることを知ることはできた。目立ったテーマは、国内問題だと不況からの脱出や健康保険の是非、国外だとエネルギーと環境問題や、開発援助の新手法、などなど。
学会の合間を縫って、スミソニアン博物館を回る。嫁さんは美術館を満喫したようだが、私は航空博物館を回るのが精一杯で、美術館は少し立ち寄っただけ。残念。
実は滞在中、ホテルの部屋に小額チップを置いていたのだが、ある日1ドル札が手元になくて、硬貨で置いて出かけたところ、帰ってきたら部屋が大変なことになっていた。残念なことに、私も嫁さんもチップを硬貨で残してはいけない(サービスが悪い、という意味になる)ということを知らなかったのだった。外国人なんだから、多少大目に見てくれよ…という気がしないでもなかったが、「郷に入りては郷に従え」、である。
米国に住んでいると、なんだか自分が世界の中心にいる気になってしまうのだが、その中心に元々住んでいる人たちからすると、そこは自分たちが生まれ育ってきたローカルな世界に過ぎない。いわゆる「外圧」が働きにくいせいか、その世界はグローバル世界の最先端というよりは、チップ文化が残っていたり単位もftやozを使い続けていたりと、変わらない部分を持っていたりもする。
私は米国に寄り添ってアメリカナイズされるつもりも、日本のしきたりが一番と思い込むつもりもないが、そうなると立ち位置がいささか怪しくなってくる。全てを相対化してしまうと何も言えなくなってしまうので、そうなると事象ごとに「これはこう思う」「こうすべきだと考える」と、個別に定義しなくてはならない。たびたび外国人としてそういう質問をされるわけで、米国に住むということは、そんな再考を四六時中求めらるような経験でもある。貴重ではあるが、なかなかに大変である。
2009/10/23
At Cal Day50: "Capitalism A Love Story"、日記風は今日でおしまい
朝から大学、せっかくUCBに来ているにも関わらず、せっせと科研申請の準備を進める。こういうときに悲しくなるが、こればかりは今頑張っておかないと、後々困ることになる。のでせっせと書く。
夜は嫁さんと映画を見に行く。マイケル・ムーアの新作、"Capitalism A Love Story"である。
Capitalism: A Love Story
http://www.capitalismalovestory.com/
内容は前作までも背後にあった、米国の「行き過ぎた資本主義」のテーマを前面に押し出したもの。正直リファイナンスの仕組みなどは、不況になる前からこのシステムはいつまで持つのだろう?と疑問だったが、この映画を見て、もし自分が元々米国人だったら、植木等じゃないが「わかっちゃいるけど、やめられない」となっていた気もする。上映が終わると、会場からは大きな拍手。カリフォルニアだからかもしれないが、反応を素直に表現する姿は、実に米国らしい。

こちらに来てから、毎日欠かさずブログをつけてきた(多少遅れはしたが)。われながらよく続いたものだと思うが、これでちょうど50日経ったので、ここから少し体裁を変えることにする。最初の50日間、海外留学生活をどうセットアップしてきたか、という見方では一つの記録にはなったと思うが、このまま「日記風」のエントリを続けることに意味があるとは余り思えないからだ。
近況報告も交じるかもしれないが、ここからはより体系的に、留学前の準備・留学中に為したこと・考えたことの3つを書くことにする。特に留学前の準備については、ある程度まとめたい。これは出国前のフルブライトの集まりで、「あなたの周りの優秀な人に、ぜひフルブライトに応募するよう勧めてください」とアドバイスされたことが大きい。
それにしたがい、実はこれまで私の周りの人にもいろいろと助言をしてきた。妻には「あなたは人が善すぎるのでは」とも言われたが、こと研究者に限っては、自分の周りの人がより成果をあげられるように動く方が、結局お互いの得になると私は考えている。帰国後にまとめればいい…と呑気にしていると、結局仕事に追われて機会を逃してしまう気もするので、こちらにいる間に振り返りをすすめることにする。
夜は嫁さんと映画を見に行く。マイケル・ムーアの新作、"Capitalism A Love Story"である。
Capitalism: A Love Story
http://www.capitalismalovestory.com/
内容は前作までも背後にあった、米国の「行き過ぎた資本主義」のテーマを前面に押し出したもの。正直リファイナンスの仕組みなどは、不況になる前からこのシステムはいつまで持つのだろう?と疑問だったが、この映画を見て、もし自分が元々米国人だったら、植木等じゃないが「わかっちゃいるけど、やめられない」となっていた気もする。上映が終わると、会場からは大きな拍手。カリフォルニアだからかもしれないが、反応を素直に表現する姿は、実に米国らしい。
こちらに来てから、毎日欠かさずブログをつけてきた(多少遅れはしたが)。われながらよく続いたものだと思うが、これでちょうど50日経ったので、ここから少し体裁を変えることにする。最初の50日間、海外留学生活をどうセットアップしてきたか、という見方では一つの記録にはなったと思うが、このまま「日記風」のエントリを続けることに意味があるとは余り思えないからだ。
近況報告も交じるかもしれないが、ここからはより体系的に、留学前の準備・留学中に為したこと・考えたことの3つを書くことにする。特に留学前の準備については、ある程度まとめたい。これは出国前のフルブライトの集まりで、「あなたの周りの優秀な人に、ぜひフルブライトに応募するよう勧めてください」とアドバイスされたことが大きい。
それにしたがい、実はこれまで私の周りの人にもいろいろと助言をしてきた。妻には「あなたは人が善すぎるのでは」とも言われたが、こと研究者に限っては、自分の周りの人がより成果をあげられるように動く方が、結局お互いの得になると私は考えている。帰国後にまとめればいい…と呑気にしていると、結局仕事に追われて機会を逃してしまう気もするので、こちらにいる間に振り返りをすすめることにする。
2009/10/22
At Cal Day49: YWCA、Appleのマウスを注文
今日から嫁さんがAASに通う。そして午後からはYWCAでEnglish in Action。彼女は一日英語漬けで、朝から緊張している…無理もない。AASの教室がある高校へ。教室の前まで連れて行く。私よりも英語が苦手なので、大丈夫かな?と心配していたが、帰って来てから感想を聞くと、思っていたより楽しかったらしい。よかった。しかし午後のYWCAは、ほぼずっとリスニング状態だったらしい…カンバセーションのレッスンなのに。ま、徐々に慣れていって下さい。
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今日Appleから発売されたMagic Mouseを注文した。本当は自宅用にiMacが欲しいところだが、とても持ち帰れないので諦める。しかしMac mini にOSX Server版が出たのには本当に驚いた。以前いた阪大の研究室でX Serverをずっと使っていたが、特にクライアントがMacだと管理の使い勝手がとてもいいので、大変気に入っていた。帰国したら、自宅サーバ用に買いたい。
ただしX Serverは、インストールされている種々のパッケージがカスタマイズされているので、パッケージ単体でアップデートしようとすると、結構戸惑う。確かapacheの設定ファイルも別の場所にファイルがあったりして、混乱したものだった。今はどうなんだろう?試してみたい。帰国後の楽しみが一つ増えた。
これまで、AppleのMighty Mouseをずっと気に入って使っていた。実はこのマウスのアイデアは、このマウスが発売されるずっと前に出された、ジェフ・ラスキンの著書にアイデアは掲載されている。私はMighty Mouseを手にした直後に偶然この本に出会ったので、その重なりに大変驚いたことを覚えている。
ただしこのマウスは、スクロールボールが汚れて反応が悪くなるのが欠点だった。Appleが推奨するやり方で定期的に掃除をするのだが、1、2年経つと掃除をしても動きが悪いままになる。一度分解をしてみたことがあるが、中のホイールが摩耗するようで、完全復活とはならなかった。新しいMagic Mouseは、マウス上で可能な動きが増えたので、マウス本体を動かす時との峻別が難しいかもしれない、と少し心配。来週中頃には手元に届くとのことなので、これも今から楽しみだ。
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今日Appleから発売されたMagic Mouseを注文した。本当は自宅用にiMacが欲しいところだが、とても持ち帰れないので諦める。しかしMac mini にOSX Server版が出たのには本当に驚いた。以前いた阪大の研究室でX Serverをずっと使っていたが、特にクライアントがMacだと管理の使い勝手がとてもいいので、大変気に入っていた。帰国したら、自宅サーバ用に買いたい。
ただしX Serverは、インストールされている種々のパッケージがカスタマイズされているので、パッケージ単体でアップデートしようとすると、結構戸惑う。確かapacheの設定ファイルも別の場所にファイルがあったりして、混乱したものだった。今はどうなんだろう?試してみたい。帰国後の楽しみが一つ増えた。
これまで、AppleのMighty Mouseをずっと気に入って使っていた。実はこのマウスのアイデアは、このマウスが発売されるずっと前に出された、ジェフ・ラスキンの著書にアイデアは掲載されている。私はMighty Mouseを手にした直後に偶然この本に出会ったので、その重なりに大変驚いたことを覚えている。
ただしこのマウスは、スクロールボールが汚れて反応が悪くなるのが欠点だった。Appleが推奨するやり方で定期的に掃除をするのだが、1、2年経つと掃除をしても動きが悪いままになる。一度分解をしてみたことがあるが、中のホイールが摩耗するようで、完全復活とはならなかった。新しいMagic Mouseは、マウス上で可能な動きが増えたので、マウス本体を動かす時との峻別が難しいかもしれない、と少し心配。来週中頃には手元に届くとのことなので、これも今から楽しみだ。
2009/10/20
At Cal Day48: Albany Adult Schoolに行く、2ヶ月経過
今日は朝から、嫁さんが英語を習うため、Albany Adult Schoolへ行く。まず最初は登録のため、メインオフィスへ向かう。Berkeley Adult Schoolと違い、Albanyは教室の場所がいくつにも分かれている。嫁さんが入る"High Beginning"のクラスは、メインオフィスから大分離れた高校の中にある。理由はよく分からない。教室が足りないからだろうか。
Berkeley Adult Schoolが定員オーバーだったので、Albanyも同じかもしれないと心配していたが、何の問題もなく登録された。よかった。明日からクラスへ通う。車で5分もかからない所だが、かなりきつい坂の上なので、送り迎えをした方がよさそう。
午後から大学、夜には東大と研究のミーティング。今週末から実践が始まる。
---

こちらに来てから、日本で進めている研究も東大の仕事も、日本にいた頃と同じように進めている。オフィスアワーを設けて(たいてい金曜日)いるが、仕事は毎日動いているので、その日まで待たせてしまうことも多く、同僚の方々には申し訳なく思っている。だがそれ以外は、日本にいた頃とほぼ変わらない。
インターネットの恩恵を強く感じるが、一方で米国に来ている意味とは何なのか、考えさせられることも多い。文献へのアクセスの良さは強く感じるが、それ以外、何も得なかったというのでは寂しい。今日で来た日から、ちょうど2ヶ月経った(一時帰国期間を含む)。
Berkeley Adult Schoolが定員オーバーだったので、Albanyも同じかもしれないと心配していたが、何の問題もなく登録された。よかった。明日からクラスへ通う。車で5分もかからない所だが、かなりきつい坂の上なので、送り迎えをした方がよさそう。
午後から大学、夜には東大と研究のミーティング。今週末から実践が始まる。
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こちらに来てから、日本で進めている研究も東大の仕事も、日本にいた頃と同じように進めている。オフィスアワーを設けて(たいてい金曜日)いるが、仕事は毎日動いているので、その日まで待たせてしまうことも多く、同僚の方々には申し訳なく思っている。だがそれ以外は、日本にいた頃とほぼ変わらない。
インターネットの恩恵を強く感じるが、一方で米国に来ている意味とは何なのか、考えさせられることも多い。文献へのアクセスの良さは強く感じるが、それ以外、何も得なかったというのでは寂しい。今日で来た日から、ちょうど2ヶ月経った(一時帰国期間を含む)。
2009/10/19
At Cal Day47: Zoteroで文献整理
月曜日。朝から大学へ向かう。一時帰国してから2週間目に入るが、なかなか調子が上がらない。時差ボケが治りきらないのは、おそらく先週曇りの日が多かったからだろう。今週は好天が続くようだし、早くリズムが戻ってほしい。
---
こちらに来てから、文献整理にZoteroを使っている。以前はBentoを使っていたのだが、ソフトを日本に忘れて来てしまったので急遽探したのだが、これがなかなかよろしい。
Zotero | Home
http://www.zotero.org/
Firefoxのアドオンとして作られているというのが面白い。最近リリースされた2.0(まだベータだが)からは、PDFからメタデータを自動的に読み込んでくれるようになった。これは助かる。しかし一部の日本語文献だと、ときどきうまく動かない。
これを回避するためには、Google Scholarとの連携機能が使える。欲しい文献をGoogle Scholarからダウンロードすると、Google Scholar上に登録されたメタデータを読み込んでくれる。これで文献取得と索引作成が同時に完了する。素晴らしい。マニュアルも日本語化されていない部分が多いので読み込む必要があるが、その手間さえ厭わなければ使う価値がある。
---
こちらに来てから、文献整理にZoteroを使っている。以前はBentoを使っていたのだが、ソフトを日本に忘れて来てしまったので急遽探したのだが、これがなかなかよろしい。
Zotero | Home
http://www.zotero.org/
Firefoxのアドオンとして作られているというのが面白い。最近リリースされた2.0(まだベータだが)からは、PDFからメタデータを自動的に読み込んでくれるようになった。これは助かる。しかし一部の日本語文献だと、ときどきうまく動かない。
これを回避するためには、Google Scholarとの連携機能が使える。欲しい文献をGoogle Scholarからダウンロードすると、Google Scholar上に登録されたメタデータを読み込んでくれる。これで文献取得と索引作成が同時に完了する。素晴らしい。マニュアルも日本語化されていない部分が多いので読み込む必要があるが、その手間さえ厭わなければ使う価値がある。
At Cal Day45,46: 週末、そろそろ「しんどい」時期
土曜日は嫁さんとIKEAへ。いろいろと家財を買い出す。近所のEl Cerrito Plazaでも結構揃うが、やはり安さでIKEAにはかなわない。いろいろと買いそろえるが、帰る時にこれらを全て処分(または持ち帰る)ことを思うと、少し憂鬱になる…あと5ヶ月か。
夜にはCalJapanClubでお知り合いになったJuliaさんのお宅へ伺い、ご家族と夕食をご馳走になる。Juliaさんは日本語が堪能で、茶道に関係する研究をしている。嫁さんが茶道を習っているので、彼女のために本や茶器を日本から持って来た。気軽に話ができる友人ができて、嫁さんも喜んでいた。
日曜日は嫁さんと一緒に(当たり前だが、毎日一緒だ)、午後からSF市内で開かれた、ベイエリアのFulbrighterを迎えるレセプションに出席。そのあと、同じく日本から来られている山田先生のご家族と一緒に、フィッシャーマンズ・ワーフで観光、Pier 39で夕食。クラムチャウダーを食べたら、先月食べたものより美味しかった。なんでもSan Francisco Chronicleで一番人気だったそうで、納得。
---
「重田君、渡米中に必ず一度、しんどい時期がやってくるからね」と周囲から言われていたが、とうとうその時がやってきたらしい…しかし、落ち込んでしまっても仕方ない。とにかくやるべきことは山のようにある。一つ一つこなしていくしかない。それにしても帰国してから、日本の仕事に追われている。今月中には一段落付くと思うが…。
来週は嫁さんがAlbany Adult Schoolに通い始める。BASは当面入れる見込みがないので、諦めることにした。暫くAlbanyに通ってもらって様子をみてもらうことにしよう。
夜にはCalJapanClubでお知り合いになったJuliaさんのお宅へ伺い、ご家族と夕食をご馳走になる。Juliaさんは日本語が堪能で、茶道に関係する研究をしている。嫁さんが茶道を習っているので、彼女のために本や茶器を日本から持って来た。気軽に話ができる友人ができて、嫁さんも喜んでいた。
日曜日は嫁さんと一緒に(当たり前だが、毎日一緒だ)、午後からSF市内で開かれた、ベイエリアのFulbrighterを迎えるレセプションに出席。そのあと、同じく日本から来られている山田先生のご家族と一緒に、フィッシャーマンズ・ワーフで観光、Pier 39で夕食。クラムチャウダーを食べたら、先月食べたものより美味しかった。なんでもSan Francisco Chronicleで一番人気だったそうで、納得。
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「重田君、渡米中に必ず一度、しんどい時期がやってくるからね」と周囲から言われていたが、とうとうその時がやってきたらしい…しかし、落ち込んでしまっても仕方ない。とにかくやるべきことは山のようにある。一つ一つこなしていくしかない。それにしても帰国してから、日本の仕事に追われている。今月中には一段落付くと思うが…。
来週は嫁さんがAlbany Adult Schoolに通い始める。BASは当面入れる見込みがないので、諦めることにした。暫くAlbanyに通ってもらって様子をみてもらうことにしよう。
2009/10/18
At Cal Day43,44: 仕事部屋の整備、OER Toolkitリリース
曇りの天気が続いている。おかげで時差ボケがなかなか治らない。朝からUCBへ。
こちらの研究活動に集中したいのだが、科研で進めている実証実験の準備と、月末に控えている科研申請の締切が控えており、しばらく手が回りそうにない。せっかく米国にいるのに…と気が焦るが、今月は生活のセットアップと日本の仕事で終わるしかない、と諦めることにする。
妻が来てから、自宅の仕事部屋を整備しようと考えていた。今までは台所の机で仕事をしていたのだが、さすがにじゃまになるので、空いている部屋(そんなものがあるだけでも、素晴らしい)に机を椅子を入れることにする。
家具はCraigslistで探した。在米の方々にはおなじみの、生活情報を扱う巨大掲示板のようなもの。ここで家具やコンピュータの売買情報が多く出ており、実は今住んでいるアパートもこれで探した。多少やり取りは面倒だが、不動産屋を通すよりも格安で探すことができる。今回はオフィスデスク・チェアを探す。車で30分ほどの場所にあるConcordという街にIKEAのオフィスデスクを見つけた。あと家の近所で同じくIKEAのオフィスデスクがあるのを知り、見に行くことにする。
午後はハイウェイを走り、Concordに向かう。ベイエリアより随分標高の高い場所で、少し暑い。なぜかこのエリアでは、山に近づけば近づくほど気温が高くなる。日本と逆じゃないか、海流の影響かもしれない。オフィスデスクのあるお宅に伺うと、なかなか程度のいい机だったのでその場で契約。何でもBerkeleyに引っ越してくるとのことで、明日、持って来てくれることに。これは助かった。折り返しハイウェイに乗り、次はオフィスチェアのある近所のお宅へ。こちらもほとんど新品ということで、文句なく即決。車に積んで持ち帰る。
金曜日は、大学に行かず家で仕事。借りているソファーに元々匂いが付いていたので、ベランダで天日干しをする。昨日買った椅子も一緒に。夕方に机が届く。妻も家にいることだし、これから暫く家で仕事をすることも増えると思われる。徐々に環境が整ってきた。
---
UNESCOから、"OER(Open Educational Resources:オープンな教育リソース) toolkit"が公開された。
UNESCO OER Toolkit - OER_Wiki
http://oerwiki.iiep-unesco.org/index.php?title=UNESCO_OER_Toolkit
Toolkitというと教材を扱うアプリケーションのような何かを想像してしまうが、むしろOERをどう作りどう扱うかを示したガイドラインのようなものらしい。ガイドラインだけあって何になるんだ、という見方もあるかもしれないが、UNESCOの想定しているユーザ層を考えると、そもそもOERとは何なのか、という情報自体がとても大切なのかもしれない。こういうものを国際機関で作ろう、という取り組み自体、評価されうるものだと思う。
こちらの研究活動に集中したいのだが、科研で進めている実証実験の準備と、月末に控えている科研申請の締切が控えており、しばらく手が回りそうにない。せっかく米国にいるのに…と気が焦るが、今月は生活のセットアップと日本の仕事で終わるしかない、と諦めることにする。
妻が来てから、自宅の仕事部屋を整備しようと考えていた。今までは台所の机で仕事をしていたのだが、さすがにじゃまになるので、空いている部屋(そんなものがあるだけでも、素晴らしい)に机を椅子を入れることにする。
家具はCraigslistで探した。在米の方々にはおなじみの、生活情報を扱う巨大掲示板のようなもの。ここで家具やコンピュータの売買情報が多く出ており、実は今住んでいるアパートもこれで探した。多少やり取りは面倒だが、不動産屋を通すよりも格安で探すことができる。今回はオフィスデスク・チェアを探す。車で30分ほどの場所にあるConcordという街にIKEAのオフィスデスクを見つけた。あと家の近所で同じくIKEAのオフィスデスクがあるのを知り、見に行くことにする。
午後はハイウェイを走り、Concordに向かう。ベイエリアより随分標高の高い場所で、少し暑い。なぜかこのエリアでは、山に近づけば近づくほど気温が高くなる。日本と逆じゃないか、海流の影響かもしれない。オフィスデスクのあるお宅に伺うと、なかなか程度のいい机だったのでその場で契約。何でもBerkeleyに引っ越してくるとのことで、明日、持って来てくれることに。これは助かった。折り返しハイウェイに乗り、次はオフィスチェアのある近所のお宅へ。こちらもほとんど新品ということで、文句なく即決。車に積んで持ち帰る。
金曜日は、大学に行かず家で仕事。借りているソファーに元々匂いが付いていたので、ベランダで天日干しをする。昨日買った椅子も一緒に。夕方に机が届く。妻も家にいることだし、これから暫く家で仕事をすることも増えると思われる。徐々に環境が整ってきた。
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UNESCOから、"OER(Open Educational Resources:オープンな教育リソース) toolkit"が公開された。
UNESCO OER Toolkit - OER_Wiki
http://oerwiki.iiep-unesco.org/index.php?title=UNESCO_OER_Toolkit
Toolkitというと教材を扱うアプリケーションのような何かを想像してしまうが、むしろOERをどう作りどう扱うかを示したガイドラインのようなものらしい。ガイドラインだけあって何になるんだ、という見方もあるかもしれないが、UNESCOの想定しているユーザ層を考えると、そもそもOERとは何なのか、という情報自体がとても大切なのかもしれない。こういうものを国際機関で作ろう、という取り組み自体、評価されうるものだと思う。
2009/10/15
At Cal Day42: UCBに復帰、"Tools for teaching" Second Edition
今日から久しぶりにUCBに通う。午後から大学近くのYWCAで行われている"English in Action"へ嫁さんが登録を行う予定だったので、朝から一緒に大学へ。オフィスに立ち寄った後、キャンパスを散策。Free Speech Cafeでサンドイッチを食べた後、YWCAへ。
English in Actionは、英語を教えるボランティアの方々から、国外から来た客員研究員やその家族がマンツーマンでレッスンを受けるプログラムで、YWCAの年会費(15ドル)のみで始められる。私の担当であるBoonie先生と相談すると、別のボランティアの方を紹介してくれた。ちょうど毎週私がレッスンを受けている同じ時間が空いていたので、毎週一緒に通うことに。その後嫁さんは図書館、私はオフィスに向かい、夕方に合流して帰宅。
---
午後に学内の本屋に立ち寄った時に、"Tools for Teaching"のSecond Editionが出ていたのを発見し購入。これは日本でも「授業をどうする!」の題名で翻訳出版されている。著者のBarbara Gross Davisは、現在UCBの教育学部・副学部長を務めている。
Tools for Teaching
http://www.amazon.com/Tools-Teaching-Barbara-Gross-Davis/dp/0787965677/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1255700734&sr=8-2
このセカンド・エディションでは、講義やフォローアップへのテクノロジの活用法に加え、最近の学生の傾向に合わせた対処方法が加えてある。既に初版をお持ちの方はご存知の通り、シラバスの書き方から板書の方法、オフィスアワーの設け方まで、大学教員のあらゆる教育活動に関する指示書になっている。加えて、各項目に参考文献が付けてあるので、高等教育の授業に関わる研究をする際の基礎文献の一覧を手に入れることもできる。
私がこれまで読んで来た授業研究の本は、講義でテクノロジをどう活用するか、ということが主要なテーマになっているものが多かったので、「普通の」授業指南書にテクノロジ利用が組み入れられているものは新鮮。加えて、新しいテクノロジについての説明もとてもわかりやすい。参考文献を見ると、ELI(Educause Learning Initiative)の出版物が多用されている。さもありなん。こういう部分でもEducauseの役割は大きいのだろう。
まだどうなるか分からないが、来年度も非常勤講師をお引き受けするかもしれないので、そのためにも手放せない教科書になりそうだ。
English in Actionは、英語を教えるボランティアの方々から、国外から来た客員研究員やその家族がマンツーマンでレッスンを受けるプログラムで、YWCAの年会費(15ドル)のみで始められる。私の担当であるBoonie先生と相談すると、別のボランティアの方を紹介してくれた。ちょうど毎週私がレッスンを受けている同じ時間が空いていたので、毎週一緒に通うことに。その後嫁さんは図書館、私はオフィスに向かい、夕方に合流して帰宅。
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午後に学内の本屋に立ち寄った時に、"Tools for Teaching"のSecond Editionが出ていたのを発見し購入。これは日本でも「授業をどうする!」の題名で翻訳出版されている。著者のBarbara Gross Davisは、現在UCBの教育学部・副学部長を務めている。
Tools for Teaching
http://www.amazon.com/Tools-Teaching-Barbara-Gross-Davis/dp/0787965677/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1255700734&sr=8-2
このセカンド・エディションでは、講義やフォローアップへのテクノロジの活用法に加え、最近の学生の傾向に合わせた対処方法が加えてある。既に初版をお持ちの方はご存知の通り、シラバスの書き方から板書の方法、オフィスアワーの設け方まで、大学教員のあらゆる教育活動に関する指示書になっている。加えて、各項目に参考文献が付けてあるので、高等教育の授業に関わる研究をする際の基礎文献の一覧を手に入れることもできる。
私がこれまで読んで来た授業研究の本は、講義でテクノロジをどう活用するか、ということが主要なテーマになっているものが多かったので、「普通の」授業指南書にテクノロジ利用が組み入れられているものは新鮮。加えて、新しいテクノロジについての説明もとてもわかりやすい。参考文献を見ると、ELI(Educause Learning Initiative)の出版物が多用されている。さもありなん。こういう部分でもEducauseの役割は大きいのだろう。
まだどうなるか分からないが、来年度も非常勤講師をお引き受けするかもしれないので、そのためにも手放せない教科書になりそうだ。
2009/10/14
At Cal Day41: 嵐の襲来、Twitterとのつきあい方
昨夜から強い風が吹いている。ニュースによると、10月としては異例な強い嵐(発生場所の関係で「台風」「ハリケーン」とは呼ばない」)がサンフランシスコに近づいているとのこと。今日は一日雨と風が強いとのことで、大事をとって一日家に居ることに。結局、我が家の周りは被害はなかったが、南部は道路が冠水したり停電になった地区もあったよう。
この近所の雨の量は一日で150mmくらい、風は20m/s弱くらいだったらしい。いちいちinchとかmphで表示されるので換算しないといけない。これは温度も一緒で、50Fで10度、そこから10F上がるごとに5度刻みで上がると簡単に考えていることにしている。これを知らないと滞在先のホテルで温度設定ができず、風邪を引くことになる(経験済)。最近はiPod touchに入れている「iConvert」というアプリがあって、これで一発で換算できる。便利な時代だ。
---
相変わらずTwitterを使っている。フォローする人が増えるにしたがって、読むのが大変になってきた。最初は全員のつぶやきを一生懸命読んでいたが、さすがにそれは止めることに。あと人の議論を追うのも止めにした。脳内フィルタリングの性能が大分上がってきたか。
Web上ではTwitter擁護派vs批判派が混在しているが、私は悩んだ結果擁護に回ることにした。何よりこれだけ新鮮で生きのいい情報が飛び交う場所としては、今はTwitterが一番である。Twitterを使っていて、技術は情報を綺麗に整理するもの、という信条にともすると偏り過ぎていたのかもしれないと思うようになってきた。その場に合わせて上手につぶやいたり、人のつぶやきの多さにげんなりするよりは、みんなで空気を読まずにアウトプットしたほうが生産的な気がする。どうしてもフォローを減らさずに綺麗に見たい、という人にはフィルタリングサービスがある。
Twitterに雑音多すぎ―Filttrで重要なニュースだけフィルターできる
http://jp.techcrunch.com/archives/20090128too-much-noise-on-twitter-filttr-will-tell-you-whats-worth-reading/
そういえばTechcrunch日本のサービスが終わるらしい。この情報もTwitterでいち早く知った。
--
追記:日本語を一部修正。読みなおしたら「、」が多すぎてとんでもない文章になっていた。急いで書くと駄目ですね、反省。
この近所の雨の量は一日で150mmくらい、風は20m/s弱くらいだったらしい。いちいちinchとかmphで表示されるので換算しないといけない。これは温度も一緒で、50Fで10度、そこから10F上がるごとに5度刻みで上がると簡単に考えていることにしている。これを知らないと滞在先のホテルで温度設定ができず、風邪を引くことになる(経験済)。最近はiPod touchに入れている「iConvert」というアプリがあって、これで一発で換算できる。便利な時代だ。
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相変わらずTwitterを使っている。フォローする人が増えるにしたがって、読むのが大変になってきた。最初は全員のつぶやきを一生懸命読んでいたが、さすがにそれは止めることに。あと人の議論を追うのも止めにした。脳内フィルタリングの性能が大分上がってきたか。
Web上ではTwitter擁護派vs批判派が混在しているが、私は悩んだ結果擁護に回ることにした。何よりこれだけ新鮮で生きのいい情報が飛び交う場所としては、今はTwitterが一番である。Twitterを使っていて、技術は情報を綺麗に整理するもの、という信条にともすると偏り過ぎていたのかもしれないと思うようになってきた。その場に合わせて上手につぶやいたり、人のつぶやきの多さにげんなりするよりは、みんなで空気を読まずにアウトプットしたほうが生産的な気がする。どうしてもフォローを減らさずに綺麗に見たい、という人にはフィルタリングサービスがある。
Twitterに雑音多すぎ―Filttrで重要なニュースだけフィルターできる
http://jp.techcrunch.com/archives/20090128too-much-noise-on-twitter-filttr-will-tell-you-whats-worth-reading/
そういえばTechcrunch日本のサービスが終わるらしい。この情報もTwitterでいち早く知った。
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追記:日本語を一部修正。読みなおしたら「、」が多すぎてとんでもない文章になっていた。急いで書くと駄目ですね、反省。
2009/10/12
At Cal Day40: BASが一杯、OCWの曲がり角
月曜日。朝から嫁さんを連れて、Berkeley Adult Schoolへ。嫁さんのRegistrationをしようとするが、今はクラスが一杯で追加の生徒は受け入れられないとのこと。緊縮財政のため、先生もクラスの数も減らしているようなので、ある程度予想はしていたがやはりショック。次の募集のメドも経っていないようなので、頻繁にオフィスに電話をかけて、空きが出たか確認しないといけない。
授業中に生徒さん(自分も生徒なので「さん」をつけるのはおかしいが…)の話を聞いていると、英語がきちんと話せた方がより割のいい仕事につけるそうなので、このご時世、英語を勉強しなおそうという人が増えているのも、混雑の原因かもしれない。
---
Chronicle.comに、大学発の無料のオンラインコースが転換期にさしかかっている、との記事が掲載されていた。「OCWは2012年で終わるかもしれない」とコメントをしているDavid Wileyは、同様の議論を「Opening Up Education」でもしている。
Free Online Courses, at a Very High Price - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Free-Online-Courses-at-a-Very/48777/
OCWをはじめとした、このような取り組みが曲がり角にさしかかっている、ということは、昨年、ここに書いた。
The Shigeta Way: OCWのこれから--Open Education Conference 2008に参加
http://idisk.me.com/astir/Public/shigejam/2008/04/ocwopen_education_conference_2.html
このような取り組みをsustainableにするために、いくつか方法はありそうで、Chronicle.comの記事内でも提案されている。一つ手っ取り早いのは有償で公開したり、サポートや単位認定を有料で請け負う、という方法。それこそが正しい道である、との主張もありそうですし、実際その手の話を身の回りで聞く。
しかし、いわゆる大学での「学び」は教材のみにあるのではなく、キャンパスでのあらゆる経験全てが含まれているのではないでしょうか。その見方から、私は今のような無償公開でも、課金でもない「第三の道」を探したいと、最近は考えるようにしている。
授業中に生徒さん(自分も生徒なので「さん」をつけるのはおかしいが…)の話を聞いていると、英語がきちんと話せた方がより割のいい仕事につけるそうなので、このご時世、英語を勉強しなおそうという人が増えているのも、混雑の原因かもしれない。
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Chronicle.comに、大学発の無料のオンラインコースが転換期にさしかかっている、との記事が掲載されていた。「OCWは2012年で終わるかもしれない」とコメントをしているDavid Wileyは、同様の議論を「Opening Up Education」でもしている。
Free Online Courses, at a Very High Price - Technology - The Chronicle of Higher Education
http://chronicle.com/article/Free-Online-Courses-at-a-Very/48777/
OCWをはじめとした、このような取り組みが曲がり角にさしかかっている、ということは、昨年、ここに書いた。
The Shigeta Way: OCWのこれから--Open Education Conference 2008に参加
http://idisk.me.com/astir/Public/shigejam/2008/04/ocwopen_education_conference_2.html
このような取り組みをsustainableにするために、いくつか方法はありそうで、Chronicle.comの記事内でも提案されている。一つ手っ取り早いのは有償で公開したり、サポートや単位認定を有料で請け負う、という方法。それこそが正しい道である、との主張もありそうですし、実際その手の話を身の回りで聞く。
しかし、いわゆる大学での「学び」は教材のみにあるのではなく、キャンパスでのあらゆる経験全てが含まれているのではないでしょうか。その見方から、私は今のような無償公開でも、課金でもない「第三の道」を探したいと、最近は考えるようにしている。
2009/10/11
At Cal Day38,39: 一時帰国終了、再び米国へ
日本には2週間滞在しました。そのうち前半は出張だったため、東大のオフィスに顔を出したのは半分強の一週間ほど。定例や臨時の会議への出席や、科研のミーティング、冬学期の講義撮影のセットアップなど各種業務をして過ごす。週末はどこか出かけたいと思っていたが、家族の用事などもあり都内からは出られず残念。
だがその合間にいろんな人と会えました。上京していた山形大の酒井さん、JSETのワークショップや若手飲み会を取りまとめてくれた渡辺さん、林さんなど。米国で過ごしている間にも、日本ではいつもと変わらない日常が過ぎていることを、あたりまえのことながら実感。来年3月に帰る頃には、様子がすっかり変わっていそう。楽しみなような、寂しいような。
金曜日に嫁さんを連れ、成田を経ち米国へ。日本から持って来た荷物の整理や、新しい家財の買い出しをして過ごす。
---
日本で仕事をしているうちに、帰国前に何をしていたか、すっかり忘れてしまった。研究ノートを読み返して、また一から仕切り直しの予感。
だがその合間にいろんな人と会えました。上京していた山形大の酒井さん、JSETのワークショップや若手飲み会を取りまとめてくれた渡辺さん、林さんなど。米国で過ごしている間にも、日本ではいつもと変わらない日常が過ぎていることを、あたりまえのことながら実感。来年3月に帰る頃には、様子がすっかり変わっていそう。楽しみなような、寂しいような。
金曜日に嫁さんを連れ、成田を経ち米国へ。日本から持って来た荷物の整理や、新しい家財の買い出しをして過ごす。
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日本で仕事をしているうちに、帰国前に何をしていたか、すっかり忘れてしまった。研究ノートを読み返して、また一から仕切り直しの予感。
2009/10/03
一時帰国: 徳島へ出張、職場に復帰
9/25に成田へ帰国、そのまま都内の長期滞在者用ホテルへチェックイン。出国前に借り家を引き払い、荷物は全てトランクルームに預けてしまったので、今は家が米国にしかない。ちょっと変な感覚であるが、仕方がない。ここに二週間強、滞在の予定。
9/27、28と徳島に出張、主催している共同研究に関わるワークショップを開く。週末から準備に追われ大変だったが、共同研究者の方々、参加者の方々のおかげで、無事終えることが出来た。ご協力頂いたみなさま、ありがとうございました。
翌日から、久しぶりに東大のオフィスに出勤。午後に皮膚科へ行き、先日腕に出来ていた湿疹を診察してもらう。ソファーで虫にでも喰われたのだろうと思っていたら、どうやら帯状疱疹だったらしい。ストレスや環境の変化で発症すると言われているが、日本に居た頃のほうがよほどストレスフルだったと思うので、おそらく環境の変化によるものと推測される。向こうでは一回風邪も引いたし、これでほぼ、体も慣れたということかもしれない。
職場では溜まった(というか、貯めてしまった。すみません)業務をこなす。10月が近づき、新学期の講義撮影の準備を進める。随分慣れてきたようにも思うが、同じことをやっているようでも、毎回やることが増えている、という感じ。大変ではあるが、何も変わらないよりはよほどいいかもしれない。何より仕事だから、きちんとこなすのは当然。そういえば査読もせねばならないし、残りの滞在も慌ただしく過ぎ去りそうな予感。

セカンド・ベストという言葉がある。昔はそういう妥協が許せずに、進むか退くかしかできなかったが、この頃やっと、その問題は一旦置いておく、ということができるようになった。留保して考え続けても、永遠に解決しないかもしれない。だけど、それがまだそのままでそこにあり、どこへも行かない、と思えるだけで楽しかったりする。不思議だ。
9/27、28と徳島に出張、主催している共同研究に関わるワークショップを開く。週末から準備に追われ大変だったが、共同研究者の方々、参加者の方々のおかげで、無事終えることが出来た。ご協力頂いたみなさま、ありがとうございました。
翌日から、久しぶりに東大のオフィスに出勤。午後に皮膚科へ行き、先日腕に出来ていた湿疹を診察してもらう。ソファーで虫にでも喰われたのだろうと思っていたら、どうやら帯状疱疹だったらしい。ストレスや環境の変化で発症すると言われているが、日本に居た頃のほうがよほどストレスフルだったと思うので、おそらく環境の変化によるものと推測される。向こうでは一回風邪も引いたし、これでほぼ、体も慣れたということかもしれない。
職場では溜まった(というか、貯めてしまった。すみません)業務をこなす。10月が近づき、新学期の講義撮影の準備を進める。随分慣れてきたようにも思うが、同じことをやっているようでも、毎回やることが増えている、という感じ。大変ではあるが、何も変わらないよりはよほどいいかもしれない。何より仕事だから、きちんとこなすのは当然。そういえば査読もせねばならないし、残りの滞在も慌ただしく過ぎ去りそうな予感。
セカンド・ベストという言葉がある。昔はそういう妥協が許せずに、進むか退くかしかできなかったが、この頃やっと、その問題は一旦置いておく、ということができるようになった。留保して考え続けても、永遠に解決しないかもしれない。だけど、それがまだそのままでそこにあり、どこへも行かない、と思えるだけで楽しかったりする。不思議だ。
2009/09/23
At Cal Day37: 第一部の最後の日、残り5ヶ月
朝から肌寒い。ここの所、一週間位のサイクルで、最高気温が30度を超える時と、25度を下回る時が繰り返されている。前者の場合、昼間のオフィスが暑いせいか、使っているMacBook Airの動作が遅くなって仕事が進まなくなる。(オフィスにも、ちなみに家にも冷房はない)そのため、先週Snow Leopardにアップデートしたのと同時に、CoolBook ControllerというCPUの電圧制御をするシェアウェアを入れることに。これでほぼ解決、気温の高いオフィスでも、家のベッドの上でも、熱を持つことがなくなった。
お昼休みに、居候しているbSpaceの部屋の人々と昼食会。キャンパス近くのレストランでチーズバーガを頂く。日本の大学のことや観光、治安のなどを日本と比較して話す。ディスカッションというほどでもないが、情報交換よりは掘り下げた程度。昨日のうちに、こんな話をするかな、と想定をしていた話題もあったので、会話にはさほど苦労せずに終了。日本でもそうですが、(意外と?)お話をすることは得意ではないので、前もって話を考えておかないと躓く。
午後からは文献と資料の整理。今週から部署のグループウェアとファイルサーバにアクセスできるようになったので、大学のアドミニストレーションに出している報告書や提案書を読み進める。組織の活動経緯が分かって、調査の下準備にとても役立つ。
明日の帰国準備があるので早めに帰ろうかと思っていた矢先、ビルの火災報知器が鳴り響いた。外に出るように促され、鞄とPCを抱えて外へ飛び出す。幸いなことに、どうやら家事ではなかったらしい。この時期UCBはテストシーズンで、切羽詰まった?学生さんが火災ベルを鳴らして、試験をさせないように実力行使(本当の意味ではない)をして、テストを止めてしまうことが度々あるらしく、今回もそうだろうと話していた。本当かいなと驚く。

ビルの外は、避難してきた学生・職員で大混乱。
1時間は中に入れないだろうという話だったので、オフィスの人にさよならを告げ、帰宅。
明日から帰国、米国に戻るのは10月9日の予定。これで米国滞在は残り5ヶ月、ここまでで日程を15%消化した計算。
お昼休みに、居候しているbSpaceの部屋の人々と昼食会。キャンパス近くのレストランでチーズバーガを頂く。日本の大学のことや観光、治安のなどを日本と比較して話す。ディスカッションというほどでもないが、情報交換よりは掘り下げた程度。昨日のうちに、こんな話をするかな、と想定をしていた話題もあったので、会話にはさほど苦労せずに終了。日本でもそうですが、(意外と?)お話をすることは得意ではないので、前もって話を考えておかないと躓く。
午後からは文献と資料の整理。今週から部署のグループウェアとファイルサーバにアクセスできるようになったので、大学のアドミニストレーションに出している報告書や提案書を読み進める。組織の活動経緯が分かって、調査の下準備にとても役立つ。
明日の帰国準備があるので早めに帰ろうかと思っていた矢先、ビルの火災報知器が鳴り響いた。外に出るように促され、鞄とPCを抱えて外へ飛び出す。幸いなことに、どうやら家事ではなかったらしい。この時期UCBはテストシーズンで、切羽詰まった?学生さんが火災ベルを鳴らして、試験をさせないように実力行使(本当の意味ではない)をして、テストを止めてしまうことが度々あるらしく、今回もそうだろうと話していた。本当かいなと驚く。
ビルの外は、避難してきた学生・職員で大混乱。
1時間は中に入れないだろうという話だったので、オフィスの人にさよならを告げ、帰宅。
明日から帰国、米国に戻るのは10月9日の予定。これで米国滞在は残り5ヶ月、ここまでで日程を15%消化した計算。
2009/09/22
At Cal Day35,36: シアトルにて、始めるという才能
今日から二日間、シアトルへ元同僚の大浦さんに会いにいく。
朝4時に起きてSFOへ移動、BARTに乗って1時間強で到着。前に住んでいた目黒から羽田への感覚とほぼ一緒。最初、乗り換えが分かりにくいのが難点。サンフランシスコ湾をわたる前に、北か南、乗ってきた方向に応じて決まった駅で乗り換えないといけない(らしい)。今回は南向きなのでMacArtherで乗り換え。
SFOからは、UA64便で移動。UCBの職場で、私がいつもUAを使っていると言うと「信じられない、あんなサービスの悪い会社なのに!」と驚かれた。どうやら米国でも日本と同じ評価のようだが、同じ会社を使い続けていると、それはそれでメリットもある。そもそも多くを求めていないということかもしれないが。
シアトルからレンタカーで移動し、大浦さんの家へ向かう。車はトヨタ・カムリ、なぜだかこちらの日本車は、日本で見るより断然カッコいい。しかしこのサイズで変速機がCVTなのには驚いた。こんな中型車(一昔前なら、大型車)の出力にも耐えるようになったんだ…隔世の感。家に着くと大浦さんが飼い猫と一緒に出迎えてくれた。なかなか立派な所に住んでいる。自然に囲まれていて、静か。友人の親の別荘をルームシェアしているとのこと。
家でひとしきり近況を話した後、ワシントン市内へ案内してもらう。Public ParkやDowntownを巡る。夜は市内のシーフードレストランで、蟹を食べる。とても美味しかった。

市内のタワーから見下ろした、ワシントン市内。高い所は苦手です。
翌日はワシントン大学を訪ねる。UCBより洗練されている印象。図書館も負けず劣らず、充実していた。大学の近くでお昼を食べて、またレンタカーを運転し、夕方のUAでSFOへ、そして帰宅。

ワシントン大学図書館の読書室。「Behaviorismのはじまり」というJ.Watsonを紹介した旧い本があって、思わず読んでしまった。
---
何ごとも、始められることが才能である、と言われることがある。大浦さんはまさに、この才能に恵まれた典型である。もちろん他の才能にも数々恵まれているが、どうして彼はそこまで思い切れるのだろう、と羨む人は多いだろう。「大浦さんは勘で生きているから」とゴマかす人もいるが、私が思うに、彼はむしろ戦略の人である。(戦術の人ではない、この違いは大きい。戦術の人はゴマンといるし、それを戦略だと勘違いしている人も多い)
私はそれを羨んで、自分でも挑戦をした。その結果、いま私は米国に住んでいる。自分の周りに住んでいる人というのは、少なくとも私にとってとても大切なものである。
朝4時に起きてSFOへ移動、BARTに乗って1時間強で到着。前に住んでいた目黒から羽田への感覚とほぼ一緒。最初、乗り換えが分かりにくいのが難点。サンフランシスコ湾をわたる前に、北か南、乗ってきた方向に応じて決まった駅で乗り換えないといけない(らしい)。今回は南向きなのでMacArtherで乗り換え。
SFOからは、UA64便で移動。UCBの職場で、私がいつもUAを使っていると言うと「信じられない、あんなサービスの悪い会社なのに!」と驚かれた。どうやら米国でも日本と同じ評価のようだが、同じ会社を使い続けていると、それはそれでメリットもある。そもそも多くを求めていないということかもしれないが。
シアトルからレンタカーで移動し、大浦さんの家へ向かう。車はトヨタ・カムリ、なぜだかこちらの日本車は、日本で見るより断然カッコいい。しかしこのサイズで変速機がCVTなのには驚いた。こんな中型車(一昔前なら、大型車)の出力にも耐えるようになったんだ…隔世の感。家に着くと大浦さんが飼い猫と一緒に出迎えてくれた。なかなか立派な所に住んでいる。自然に囲まれていて、静か。友人の親の別荘をルームシェアしているとのこと。
家でひとしきり近況を話した後、ワシントン市内へ案内してもらう。Public ParkやDowntownを巡る。夜は市内のシーフードレストランで、蟹を食べる。とても美味しかった。
市内のタワーから見下ろした、ワシントン市内。高い所は苦手です。
翌日はワシントン大学を訪ねる。UCBより洗練されている印象。図書館も負けず劣らず、充実していた。大学の近くでお昼を食べて、またレンタカーを運転し、夕方のUAでSFOへ、そして帰宅。
ワシントン大学図書館の読書室。「Behaviorismのはじまり」というJ.Watsonを紹介した旧い本があって、思わず読んでしまった。
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何ごとも、始められることが才能である、と言われることがある。大浦さんはまさに、この才能に恵まれた典型である。もちろん他の才能にも数々恵まれているが、どうして彼はそこまで思い切れるのだろう、と羨む人は多いだろう。「大浦さんは勘で生きているから」とゴマかす人もいるが、私が思うに、彼はむしろ戦略の人である。(戦術の人ではない、この違いは大きい。戦術の人はゴマンといるし、それを戦略だと勘違いしている人も多い)
私はそれを羨んで、自分でも挑戦をした。その結果、いま私は米国に住んでいる。自分の周りに住んでいる人というのは、少なくとも私にとってとても大切なものである。
2009/09/20
At Cal Day33,34: 休日、帰国準備、ブラック・スワンが楽しい
ようやくの休日。来週は月・火とシアトルに、ワシントン大学で大学院に通っている元同僚の大浦さんを訪ね、木曜日から一時帰国をする予定。いつもの家事や洗濯に合わせて、部屋を整理する。嫁さんが来たときに散らかっていたら、がっかりだと思うので、頑張る。
一つ困ったことがあって、多分木曜日か金曜日頃、左腕に湿疹ができたんですね。それも広範囲に。これが痛くて、仕事が進みません。皮膚が悪いっていうのは大変。とほほ。ソファーで昼寝をしている時に何かに噛まれたのか、はたまたストレスか。謎。
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近頃話題の「ブラック・スワン」、積ん読になっていたのを、家事の合間にようやく読み始めました。
不確実性の高いリスクとどうつきあうか?というのが一つのテーマですが、本書にはその解説に留まらない面白さがあります。「追認」のおそろしさ、「講釈の誤り」、ベル・カーブの正しい使い方…私が研究対象としているのは、比較的「月並みの世界」の話ではありますが、どれも「ぎくっ」とする話。これは気をつけんといかんなぁーと思うことばかり。中でも「事象からモデルを組み立てるのはいいが、モデルを使って事象を解釈するのはいかん」というのは面白い指摘。
しかし、この本は読んでいると疲れます。実はまだ読み切っていないのですが、読み切った後も、、自分の中ですとんと落ちるまで、もう暫く時間がかかりそう。amazonの書評には「訳がいまいち」という指摘もあるようですが、私はそう思いません。著者のハネた雰囲気を、できるだけ日本語に反映している努力が垣間見えて、楽しく読んでいます。
一つ困ったことがあって、多分木曜日か金曜日頃、左腕に湿疹ができたんですね。それも広範囲に。これが痛くて、仕事が進みません。皮膚が悪いっていうのは大変。とほほ。ソファーで昼寝をしている時に何かに噛まれたのか、はたまたストレスか。謎。
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近頃話題の「ブラック・スワン」、積ん読になっていたのを、家事の合間にようやく読み始めました。
不確実性の高いリスクとどうつきあうか?というのが一つのテーマですが、本書にはその解説に留まらない面白さがあります。「追認」のおそろしさ、「講釈の誤り」、ベル・カーブの正しい使い方…私が研究対象としているのは、比較的「月並みの世界」の話ではありますが、どれも「ぎくっ」とする話。これは気をつけんといかんなぁーと思うことばかり。中でも「事象からモデルを組み立てるのはいいが、モデルを使って事象を解釈するのはいかん」というのは面白い指摘。
しかし、この本は読んでいると疲れます。実はまだ読み切っていないのですが、読み切った後も、、自分の中ですとんと落ちるまで、もう暫く時間がかかりそう。amazonの書評には「訳がいまいち」という指摘もあるようですが、私はそう思いません。著者のハネた雰囲気を、できるだけ日本語に反映している努力が垣間見えて、楽しく読んでいます。
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