2011/10/07

彼は全てを残してくれた:追悼 スティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズが亡くなりました。大変残念です。思い出はつきませんが、まず何より、心よりご冥福をお祈りいたします。

今になり改めて、彼の偉大さを思い知ります。彼の復帰後、Appleという会社は大きく変わりました。一人の"a visionary and creative genius"に頼るのではなく、デザインに、マーケティングに、テクノロジーに、ロジスティクスに、Appleらしい製品を世に送り出す人々が集まる”company”が築かれました。

また、Appleが世に送り出した数多くの製品を見て触り使うことは、「Appleとは」「Appleらしさとは何か」について繰り返し感じ、考えさせられる経験です。彼なき後も、Macは、iPhoneは、iPadは、Apple TVは、私たちの日常生活の"dear friend"であり、彼のいた頃のAppleを思い出させる"inspiring mentor"であり続けるでしょう。

その意味において、"his spirit will forever"であると、私には思えます。彼は、これからもAppleに関わり続ける私たちに必要な全てを残してくれました。このことに何よりも感謝し、きょうの日と共に心に刻みます。


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Steve Jobs 1955-2011
Apple has lost a visionary and creative genius, and the world has lost an amazing human being. Those of us who have been fortunate enough to know and work with Steve have lost a dear friend and an inspiring mentor. Steve leaves behind a company that only he could have built, and his spirit will forever be the foundation of Apple.
Apple - Remembering Steve Jobs
http://www.apple.com/stevejobs/


夏のリフレクション その1:教育工学会ワークショップ

早いもので10月です。今年は夏と秋が急に入れ替わった気がします。
9月はセミナーや研究会、学会と「出ずっぱり」な一月でした。学期が始まり全てが忘却の彼方に去ってしまう前に、少しばかり振り返りたいと思います。

まずは、教育工学会で開催したワークショップについて。
開催前にもブログで告知致しましたが、若手教員のキャリア形成を考えることを目的に、ワークショップを開きました。

The Shigeta Way: 日本教育工学会ワークショップ:「『大学教育センター』に所属する若手教員の悩みと将来展望:業務・研究・キャリア」を開催します
http://shige.jamsquare.org/2011/09/blog-post.html

多少告知を頑張ったつもりだったのですが、蓋を開けてみればなかなか人が集まらず…。同時に開催された他のワークショップも充実しており、やむを得なかったかもしれません。
お越し頂き、議論にご参加頂いた方々に、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

ワークショップの様子。
共同開催者の林さんより、写真を頂きました。ありがとう!

ワークショップでは私からのイントロダクションに続いて、若手教員であり共同開催者でもある渡辺さん@首都大・松河さん@大阪大・林さん@東大のお三方から、ケーススタディとしてそれぞれのキャリアについてお話頂きました。

今回は議論の叩き台として、便宜的に大教センターの若手教員を3タイプに分類しました。仮にここでは、大教センターでの業務を教育企画やFDとしています。

  • 「一般的な」研究者
    • 研究領域のあてはまる学部学科に所属する研究者です。自らの研究領域の中で研究教育を行います。
  • タイプ1:業務と研究を切り分ける
    • 教育研究に携わっているが、業務と関連を持たせていない研究者です。業務は仕事と割りきって関わります。研究が業務の方向性に左右されない反面、研究+業務と二重に負荷がかかります。研究領域が教育学系でないという点が、一般的な研究者との大きな違いです。
  • タイプ2:業務の中で研究する
    • FDなど業務に関わりのあるフィールドで研究活動をする教育学の研究者です。業務と研究のシナジーが期待される反面、業務が研究の幅に制限を与えることもあり得ます。
  • タイプ3:異なるディシプリンを持っている
    • 教育学系の研究者ではないが、大教センターに所属する、教育学以外の領域に携わる研究者です。業務は仕事と割りきって関わる点は「タイプ1」と同じですが、研究領域が教育学でないため、将来は大教センター以外の職場で働くことを目指しています。
あくまで「叩き台」としての分類であり多少の不自然さはありますが、これを出発点に大教センターに所属する若手教員のキャリア形成について議論を行いました。
ワークショップで使ったスライドはこちらよりダウンロードできます。

議論は多岐に渡りましたが、私個人として印象に残った点をいくつか挙げておきます。

  • 自分の「コア・バリュー」をどこに置くか?
    将来の転職を考えた場合、研究領域だけでなく、業務内容や業務経験が問われることも多い。自らの研究の強みだけでなく、より多様な見方で自分の「強み」「弱み」に意識的になることが、将来設計において大事である。
  • 大教センター教員の「関係性の作り方」
    ゼミを持てず、学内外での教育活動が制限される若手教員の場合、研究やキャリアについて語り合ったり、共同研究の相手になる「仲間」を見つけることが容易でない。若手教員同士のフラットな関係性の中で、自分の「強み」を見つけて相互貢献し合えるような関係性を築くことが必要といえる。
  • 「タイプ2」教員は一見理想的だが、壁も高い
    業務をしながら研究もできる「タイプ2」の教員は一見理想的にも見えるが、何らかのスキル(システム開発・調査スキル等々)を持っていることが研究遂行の条件となるため、業務フィールドを研究対象にもできるような能力をどのように養い伸ばすかが課題である。


最後に、千葉大学・藤川先生の以下エントリーが、学会参加への心構えとして大変参考になりますので、リンクを貼らせて頂きます。同じ学会に重ねて参加していると場慣れが過ぎ、貴重な出会いやインプットの機会を逃しかねません。毎回新鮮な気持ちで、好奇心を失わないように参加したいと思い直しました。

日本教育工学会全国大会、よい形で参加するために: 藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ
http://dfujikawa.cocolog-nifty.com/jugyo/2011/09/post-bab7.html

2011/09/16

中学校向けスタジオ型教室「SACLA(西武台アクティブラーニングラボ)」のご紹介

2012年度に開設される埼玉県の私立中学校「西武台新座中学校」では、新校舎にICT(情報通信技術)を活用したスタジオ型教室「SACLA(西武台アクティブラーニングラボ)」を開設します。SACLAは可動式の勾玉型テーブルと多面プロジェクター、1人1台のiPad2を使い、生徒の主体的で能動的な学びを支援する新しいタイプの教室空間です。

ホーム|西武台新座中学校 ホーム|西武台新座中学校 http://www.seibudai.ed.jp/junior/index.html

ICT活用教育|西武台新座中学校
http://www.seibudai.ed.jp/junior/curriculum/ict.html

SACLAでは、総合的な学習の時間や教科学習において、ICT機器を使った情報検索や討論、発表といった「アクティブラーニング」を学習活動に取り入れ、理解度やモチベーションを高め、思考力・判断力・表現力を身につける授業づくりを展開します。
 
西武台新座中学校の「ICT活用教育アドバイザー」として、私重田は、SACLAの設計・授業計画の立案に携わっています。初中等教育における本格的なスタジオ型教室の設置はまだ数少なく、教室をどのように使うか、どんな授業を通年で行なうか、人的なサポート体制をどう整えるかなど、来年度の開設へ向けた協議や様々な準備を、先生方と進めています。

先月末には入学希望者を対象とした公開授業が行われました。iPad2のカメラやiMovie、Keynoteを使い、新座中学校について調べ学習をする授業を行いました。公開授業では、入学を志望する小学生数名と高校生とがグループになって、素材収集やスライド制作、発表を行いました。

進捗状況など、また追ってお知らせ致します。

2011/09/13

日本教育工学会ワークショップ:「『大学教育センター』に所属する若手教員の悩みと将来展望:業務・研究・キャリア」を開催します

随分とご無沙汰してしまいました。みなさま、お変わりありませんか?
まだ暑さは残りますが、もうすぐ夏も終わりですね。山下達郎の「さよなら夏の日」が似合う季節です‥。

突然ですが、告知です。
私ならびに教育工学分野の研究者4名が、、今週末、首都大学東京・南大沢キャンパスにて開かれる日本教育工学会第27回全国大会において、学会参加者対象のワークショップを開催します。

ここ数年、いわゆる「大教センター」に就職する若手教員が増えてきましたが、彼らが研究者として専門性を高め「キャリア形成」を目指すに当たり、学部・大学院に所属する教員とは異なる環境により、少々異なったキャリア設計を迫られることになります。「大教センター」の教員は、このことを十分に意識した上で、自分なりのキャリア設計に個々人が挑まなければならないのでは?という考えのもと、この会を開くことにしました。

「なんだかFDの仕事が忙しすぎて、研究する暇がないんだけど‥」
「教育が専門じゃないんだけど、仕方なくFDの仕事をしていて‥」
「大学院生なんだけど、将来どんな職を選べばいいかわからない‥」

そんなあなた、日頃の疑問や思いを出しあい、自分なりのキャリアを築いていくきっかけ作りになるかもしれません。ぜひ奮ってご参加下さい!

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日本教育工学会 ワークショップ
「大学教育センター」に所属する若手教員の悩みと将来展望:業務・研究・キャリア
アジェンダ
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■アブストラクト
近年、成果主義の導入などいわゆる「大学改革」の推進に伴い、高等教育機関を取り巻く環境は大きく変化しています。その中で大学教育の企画運営などを担ういわゆる「大学教育センター」への期待が増す一方、センターに勤務する若手教員の役割も変わりつつあります。若手教員はセンターの業務において成果を上げると同時に、個人の業績となる研究活動も並行して進めなくてはなりません。業務が多様化・多忙化する中で、彼らが将来のキャリア形成へつながる仕事をなし業績を上げることは、日々困難になりつつあります。

このワークショップは、教育工学研究に携わりながら「大学教育センター」に勤務する若手教員や、研究者を目指す大学院生が、自身の業務や研究活動、将来のキャリア形成について、気軽に意見交換をする場です。

ワークショップではまず、自らも大学教育センター所属の若手教員である複数の討論者が、それぞれの立場から日頃の業務や研究活動について語ります。その後、「センター業務と研究の両立・シナジー」「『実践現場』としての大学の魅力と限界」「若手センター教員のキャリア形成」の3点を軸にディスカッションを行います。若手教員ならではの悩みや将来展望などについて気軽に話し合う、対話型セッションとなる予定です。

本ワークショップへの参加は、若手研究者同士の「横のつながり」作りにも寄与すると思われます。多くの若手研究者、大学院生の参加を期待します。

■日時
9月17日 18:00-19:30

■場所
首都大学東京 南大沢キャンパス
日本教育工学会 第27回全国大会にて

■参加対象
・大教センターに勤務する若手教員 
・大学教員のキャリア形成に興味のある教員
・大学院生・学生全般

■ワークショップの流れ

□イントロダクション(15分)
ワークショップのコンセプトと流れをお知らせします
・自己紹介
・ワークショップの背景と目的(重田)

□ケーススタディの紹介(20分)
大教センターのキャリア形成を3タイプに分類し、それぞれの「キャリアの築き方」を経験に基づいて紹介します
・タイプ1:大教センター教員、業務と研究を切り分ける(渡辺)
・タイプ2:大教センター教員、FDで研究しようとする(松河)
・タイプ3:大教センター教員、異なるディシプリンで働く(林)
・大教センター教員(重田)

□グループ活動(30分)
参加者がグループに別れ、大教センター教員の「キャリアの築き方」を議論します
※参加者それぞれが、自分がどのタイプにあたるか考えて、3タイプが混ざるようグルーピング
・3つのタイプの教員が、この先どんなキャリアを築いていけばいいかを考える
・そのために、3つのタイプの教員がそれぞれ何をなすべきかを考える

□発表(25分)
グループごとに発表、相互コメント

□クロージング(10分)

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以上
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2011/07/15

東京大学iTunes Uにて「ハーバード白熱教室 in Japan」を公開!

私の勤めている東京大学・大学総合教育研究センターより、東京大学iTunes Uにて「ハーバード白熱教室 in Japan」のビデオが公開されました。昨年8月に安田講堂で開かれた講義の模様が(ほぼ)ノーカットで収められています。

マイケル・サンデル「ハーバード白熱教室 in JAPAN」2010 - The University of Tokyo の無料コンテンツを iTunes で無料ダウンロード
http://itunes.apple.com/jp/itunes-u/id448069376?ls=1

講義には同時通訳が入り、サンデル教授の問いかけに対し、参加者は英語または日本語で答えました。音を聞かなくても内容が分かるように、全編に日本語字幕を入れています。現状、字幕文字は「中寄せ」になっていますが、改行の入る字幕だと「左寄せ」が正しいとのこと。後日、修正をする予定です。

ビデオの制作は、私が統括するTREEオフィス・コンテンツ開発室が行いました。ほぼ全ての作業をオフィスに勤める学生スタッフが行いました。3時間超にわたる講義の文字起こしをしたNさん、英語の日本語訳したYさん、字幕表示のタイミング調整と最終仕上げをしたHさんに感謝。年明けから長々と取り組んでいた仕事が、ようやく一つ終わりました。

「ハーバード白熱教室 in Japan」の大きな告知バナーが、iTunes Uのトップページに載せられています。バナーの掲載には、アップルジャパンのみなさまに多大なご助力を頂きました。深く感謝。

今回は講義ビデオに加え「ハーバード白熱教室 in Japan 公開にあたって」と題し、講義のダイジェスト映像と本学の大学総合教育研究センター長・吉見先生のインタビューも公開しています。サンデル教授の講義を一過性のイベントにとどめず、大学教育改革の礎にするというメッセージが語られています。こちらもぜひご覧ください。

2011/07/02

リフレクション・ツールとしてのiPad



先週iPad2が手元に届きました。薄さや軽さ、動作の速さにばかり注目されがちなiPad2ですが、私が推したいのはカメラとiMovie for iPadです。静止画撮影の画質こそiPhoneに及ばないものの、動画なら720pのムービーが手軽に撮れます。iPadを両手で持ちながら撮影し、 iMovieでちょっと編集するだけで、結構見るに耐えるムービーができました。日暮れ近かったので暗く、色味が少々怪しいですが、なんとか許せる範囲です。

iPadなどタブレットを学習ツールとして導入する大学は随分と増えましたが、小中学校の教育現場でも導入が徐々に進んでいます。私の知り売る範囲では、電子教材や電子教科書を授業中に使ったり、ドリルアプリで自学自習を促すような教育実践が多いようです。

私自身は、iPadのメディア制作能力を生かした「リフレクション・ツール」の可能性に期待しています。
総合学習や社会・理科などの教科で、生徒の学習成果や学習履歴を残し共有するためのポートフォリオ作りが行われています。調べ学習の結果やプロセスをメディアを使ったポートフォリオとして残すために、特別なスキル習得を多く必要とせず、一つの端末で素材収集から編集、プレゼンテーションまで一元的にこなせるiPadは、理想的なツールと言えます。

ただし、ポートフォリオを学習に活かすには、生徒が見聞きしたことをコンテンツとして残すだけでは不十分です。授業目標の明確な設定や、学習者の振り返りを促す授業の構成など、ポートフォリオを作りっぱなしで終わらせないような工夫が必要です。私自身も思案し続けている段階ですが、近々いつか、このアイデアを実際の教育現場で生かせるような仕事をしたいと考えています。

2011/06/22

Partystream for JAPAN収録・「学ぶ」と言うことの躊躇について

先週の土曜日、都内で開かれた「Partystream for JAPAN」にスタッフとして参加した。

6/18 PARTYstream for JAPANのお知らせ! » PARTYstream(パーティストリーム)
http://partystream.jp/?p=361

私の役割はイベントそのものや準備の様子を映像収録することで、午前中から夜半過ぎまで、10時間連続の撮影となった。とても私一人でできる仕事ではなく、ボランティアで参加してくれた教育部のNさん、Sさんが手伝ってくれた。二人の助けでなんとか乗り切ることができた。感謝。
翌日映像をチェックしたところ、かなり多くの良い画が撮れていた。近日中に数分程度のダイジェストムービーを制作する。出来上がりが楽しみである。

当日の様子は、私が同じ研究会に参加している福島さんのブログが大変よくまとまっていたのでご紹介したい。

FUKUSHIMA NOTE : 奇跡のイベントParty Stream にいってきた!

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何か非常に参考になったり、多くの発見がある話を聞いた時に、相手に今日は学ぶことが多くありました、勉強になりましたと伝えることがある。その時、大変嬉しそうな顔をして、どういたしましてと仰る方と、けげんな顔をされる方とに分かれる。お世辞でも何でもなく、ただ多くを知り得たことに感謝を述べたのだが、いい大人になって何を今さら「学ぶ」だの「勉強する」だのと、奇妙に思われるのかもしれない。

しかし、どんな専門家であっても、ある時点でその人の知識や技術の習得が止まることはない。ある分野でプロとして働き続ける限り、周囲から何かを得て見識や技能を高めることができる。専門家の中には敢えて「学ぶ」「勉強する」という言葉を使わない方もおられる。プロとして働き報酬を貰っているのだから、発展途上であるような表明を躊躇するのかもしれない。私個人の考えでは、そのことを恐れるよりも、持ちつ持たれつで成長する意思を互いに堂々と表明し承認しあうほうが、生産的で健全に思える。

私自身が「学び」や「教え」を取り扱うことで暮らしている人間だから、そこから生じるバイアスには慎重にならなければならない。「学ぶ」「教える」という単語に、ポジティブでない印象があるのかもしれない。だがそれを踏まえたとしても、例えばPartystreamのようなイベントに参加した人が、帰り際に「面白かった」「楽しかった」だけでなく、「いろいろ学びました」「いい勉強でした」と屈託なく話してもいいし、その方がなんだか楽しい世界のように私には思えるのである。