先日、MITの飯吉先生より以下のツイートがありました。
http://twitter.com/#!/iiyoshi/status/48748283170004992
日本全国の大学生・大学教職員の皆さん、この連休中に、今この国難を乗り越えるために、是非大学にしかできないことや大学人の叡智を結集してうまく率先できることを考え、休み中や休み明けに同僚や仲間と話し合ってみてください。また、アイデアなどをツイッターやブログで大いに発信してください。
これを受け、私が一人の大学教員として何ができそうか、考えてみました。素人考えのため、本当に実現できるのか、意味があるのか、議論があるかと思います。構想を深めて批判も受けつつ、引き続き自分に何ができるのかを考えていくつもりです。
アイデア1:被災地にて、新しい学校建築の提案につながるフィールドワークを行う
かねてより、学校建築は地域において、子どもの学びの場としてだけでなく、災害など緊急時に人々が当座をしのぐ避難所としても想定されてきました。学校にはその備えがありましたが、今回の震災でその想定が十分でだったのか疑問が持たれています。ここ最近、東北・関東地方の学校では、避難した人々が底冷えのする体育館や教室で睡眠を取られ、物資の不足や通信インフラの途絶に苦労されていると報じられています。この問題を看過せず、学校建築を再考する貴重な機会と捉えてはどうでしょうか。例えば学校の避難所に、建築学・社会学・教育学など幅広い分野を専門とする教職員や学生が赴き、現地で支援活動をしながら中長期的にフィールドワークを行い、「緊急支援施設」としての学校建築の問題点や改善点を洗い出すのです。そこで得られた知見から、建物の強靱性や必要な物資の保管、独自の通信インフラの整備など、新しい学校建築に求められる有意義な提案ができるのではないでしょうか。
なお、私の専門分野である教育工学では、伝統的に学校建築が研究テーマの一つとして掲げられてきました。このような蓄積された知見を生かすことも有用でしょう。
CiNii 論文 - 学校建築計画研究の展開-30年
http://157.1.40.181/naid/110003026612
アイデア2:被災地をフィールドとした実践研究を中長期的に行う
上のような特定分野に限らずに被災地をフィールドにした実践研究を、特別の助成などを用意した上で奨励するという構想です。分野や方法の検討を慎重にした上で、被災地の様々な場所で、若手の教員や学生が自らの専門知を活かしながら、将来的な現地の復興にも役立つような実践研究を中長期的に行うというものです。これを現地でのボランティア活動と合わせて行えば、現地の復興支援自体も多少なりともお手伝いできるかもしれません。なお私は、この構想で若い教員や学生が被災地に向かうこと自体に副次的な効果があると考えています。被災地の状況をメディアで知り寄付や物資を送ることに加え、被災地に実際に赴いて現地に触れることが、この国難の経験を私たちがより多様な形で語り継ぎ、未来に生かすきっかけになるのではないでしょうか。