2009/11/05

海外研究へ向けて: 諸手続き、いわゆるペーパワーク

海外研究を目指し奨学金など資金調達のメドがついたら、次は晴れて留学の準備が始まります。喜びも束の間、ここから鬼のようなペーパーワーク(書類作り)が待っています。受け入れ先の確定、留学のためのビザ申請です。

※今回は私の経験上、客員研究員の場合に限った話になります。ご容赦ください。

■受け入れ先の確定
既に留学先が確定している場合、先方にその旨伝えます。明確に伝えなくてはならないのは、滞在希望期間と資金援助についてです。先方からすれば、受け入れ態勢を整えるために、滞在時期を確定させなくてはなりません。また一般的に、先方の費用負担は発生しないと思いますが、念のため先方の費用負担はない旨伝えておいたほうが親切です。

加えて、受け入れ先に受け入れ承諾書を発行してもらいます。これは次のビザ申請で使います。フォーマットは特にないと思いますが、見本になるものを先方に送りそれを元に作成してもらうほうがスムーズです。受け入れ期間のレターヘッドが付いたものがいいでしょう。

受け入れ先がまだ確定していない場合、受け入れ先を探さなくてはなりません。前もって計画的に、国際学会などで知り合って「仮の話」として相談をするという手もありますし(なかなか難しいと思いますが)、知り合いの方につないで頂くということも可能と思います。私の場合、後者でした。12月に採択の後、決まったのが3月でしたから、こちらもできるだけ早めに動くに越したことはありません。

英語のメールでやりとりが続くと思います。語学が堪能な方はいいですが、私のように何かと怪しい場合、先方との意思疎通に齟齬が起きないよう、チェックをしてもらうほうがいいでしょう。

■ビザ申請
米国に客員研究員として赴任するなら「交流訪問者ビザ(Jビザ)」、博士課程入学など学生として留学するなら「学生ビザ(Fビザ)」を申請します。必要書類などについては以下を参考にして下さい。それぞれ所定のフォーマットがあり、同じく用意されているチェックリストを元に準備をします。

Jビザの説明:交流訪問者
http://tokyo.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-niv-j.html

ビザ発行にあたり、事前に米国のCIES(Council of International Exchange of Scholars)などの政府機関から発行された、DS-2019と呼ばれる書類が必要です。書類が準備できたら面接です。警戒物々しい米国大使館(東京・赤坂)に出向きます(要予約)。家族で渡航する場合、家族も面接を受けます。面接とはいっても、どこかの部屋に案内されるのではなく、窓口で簡単な質問をされるだけで、少し拍子抜けですが。

DS-2019の発行や大使館での面接は、フルブライト事務局のようなFundingをしてくれる機関から助言があります。こちらでも情報を持っておくことも大事ですが、慣れている方々の指示に従って粛々と進めるのがいいかと思います。蛇足ですが、パスポートの有効期限も確認して下さい。

私の場合、この作業を2009年4月から6月の間に行いました。

またこれは出国後になりますが、DS-2019に「Travel Validation(旅行証のようなもの」をもらうのを忘れないようにして下さい。これは書類内に所定欄がありCIESにサインをもらうことで、渡航中に国外を行き来する許可が下ります。これがないと滞在期間中、国外に出たときに再入国ができなくなります。出る際にはDS-2019は必要ありませんので、下手をすると気がつきません。実際にこのことを知らず、米国の入国審査で止められた方の話を聞きました。

病気やけがなど急な用事で帰国することもあるでしょうから、渡航後にすぐ手続きを進めた方が安心です。この処理は渡航後、CIESにメールか電話で依頼をしてから、ワシントンDCにあるCIESにDS-2019を送れば、サインをして戻してくれます。送るときにはFedExなど配達証明のついた封書で送ったほうが無難です。