2008/06/21

リクルート社の「見切り」〜「R25/L25の秘密」セミナーから

ここ一月ほど季節柄でしょうか、何かを学んだり生み出したりという活動が停滞気味でした。
これはいけません。脳内の新陳代謝を促そうと、先週都内で開かれたセミナーに参加しました。

講演「驚異のフリーペーパーR25/L25の秘密」
http://www.cyber-synapse.com/community/20080619/?ml=21

途中からの参加でしたが、リクルート社発行のフリーペーパー、R25/L25の生い立ちや戦略について貴重な話を聞けました。

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セミナーで語られた「秘密」の詳細はともかく、私が驚かされたのは、リクルート社の持つ「己を知る力」でした。
フリーペーパーのビジネスには広告掲載が必須です。彼らは自ら、販売促進力やコンテンツ編集での「強み」を持つ一方、広告宣伝力(具体的には広告出稿先の確保)に「弱み」があることを認識した上で、広告代理店と提携することで相互補完的な関係を築き、業界No.1のフリーペーパーを実現しました。これほどの企業でも、全てを抱え込まない「見切りの良さ」を持っていることが新鮮でした。

仕事上しばしば感じることが、自分の「長所」や「弱点」を見極めた上で仕事を進めることの大事さです。どうしても大学にいると物事を(一見)スムーズに進めるために「学内の多様なリソースを有効活用して…」などと言いつつ、内々で進めてしまいがちです。
しかし「餅は餅屋」と言うように、世間にはその道で先頭を走っているプロが山のようにいます。自らを万能と思い丸抱えするより、互いに補えるパートナを持ち助け合うことで、よりよいものを作り出すことも可能なはずです。

一方、このような仕事のスタイルには対話の力・交渉力が欠かせません。内々ならある程度以心伝心で(時に学内であっても意思疎通は困難ですが…)伝え合うこともできるでしょうが、外の「文化」の人たちには、我々が何を目指しているか、あなたに何を求めているのかを、相手が納得できるよう説明しなければなりません。大変骨の折れる作業ですが実はメリットもあって、このような機会からプロジェクトの目的や方向性が明確になることもしばしばです。


加えてリクルート社はR25/L25の立ち上げにあたり、社を上げた大規模なアンケートを行い、狙いのM1層(20-35歳)の嗜好や特性を十分に把握した上で企画を立ち上げています。
一見当たり前のことですが、「どんな取り組みを、だれに、どのように供すべきか」、研究活動においても、まず同定しなければならない問いです。

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異業種の知見でも、それが異質だからこそ学べることも多いように思います。