Open edXの導入と構築はCMSコミュニケーションズさんにお願いした。ローカライゼーションもコミュニティの中である程度は進んでいたが、受講画面の全て、管理画面の大半を日本語化して頂いた。丁寧なお仕事に感謝。
画像は制作した応用倫理学入門のコースのスクリーンショット。いわゆる「MOOC型」の教材で、トピックごとの短いビデオとクイズを組み合わせる構成となっている。
Open edXを使って気付いたことがいくつかある。
- 最初から教材を「構造化」して設計することが必須
- edXやCourseraのコースを見ても分かる通り、教材の設計思想がOCWや授業収録ビデオとは大きく異なり、いわゆるeラーニング教材の構造を想定してプラットフォーム自体が設計されている。
- いま大学で行われている講義をそのまま掲載することは難しい。学習理論やインストラクショナルデザインの観点から、コース全体の学習目標を定め、コースを構造化することが必須である。
- 講義ビデオの作成だけでなく、学習目標に基づいたクイズやテストを合わせて作成しないと、学習履歴の分析を十分に行えない。
- よくできた受講画面と管理画面
- 受講画面はedXでおなじみの構成。
- 管理画面が大変使いやすい。iTunes UのCourse Managerとよく似たインタフェース。ちなみにビデオはYouTubeにアップロードした動画にリンクを貼って表示させるのが通常の方法。我々のプロジェクトでは当面、関係大学の中のみで公開するため、別途ストリーミングサーバを立てた(Kaltura)。
- クイズやテストの作成機能はまだまだ
- クイズの生成機能は弱く、moodleなど一般的なLMSには敵わない。例えば多岐選択のクイズで、誤った回答をした場合にヒントを表示することができない。
- クイズやテストのテンプレートが複数用意されており、適したものを選んで用いる仕組み。mitXでも使われた電子回路図の作成を課すようなモジュールもあるが、これまでのedXコース用に作られたモジュールをとりあえず公開した、といった感じである。
- 凝ったクイズやテストを作成するには新しいモジュールを開発する必要がある。またピアレビューのモジュールなど、追加で配布されているモジュールも信頼性に欠けているようだ。
- プラットフォーム自体の課題
- まだバージョニングの考え方が導入されておらず、stableのパッケージも公開されていない。このあたりの改善はロードマップに入っていると聞いているので、今後に期待したい。
日本でOpen edXを活発に使っているのは、京大とgacco、あと北大くらいかと思われる。まずは今の状態で学内で使うことになるが、機能拡充含めコミュニティに貢献したいと考えている。