Open Education Conference 2018報告 〜「教育機会」の均等から「学習成果」の底上げへ〜

10月10日から12日まで、米国ナイアガラフォールズにてOpen Education Conference2018(通称OpenEd)に参加しました。

#OpenEd18 – #OpenEd18
https://openedconference.org/2018/

発表の合間に出向いたナイアガラの滝。会場から歩ける距離でした

確か2009年から参加しているOpenEdも15回目となりました。毎年、米国を中心としたオープンエデュケーションの状況を学ぶために出向いていますが、今年のカンファレンスでは、米国の状況がOERによる教育の機会均等を目指す方向から、学習成果の底上げを目指す方向に変わりつつことを感じました。

米国におけるオープンエデュケーションの活動は、これまでオープン教科書(Open Textbook)の普及が主なものでした。しかし最近は単なる教材の手に入りやすさ(affordability)から、貧しい学生(例えばPell grantという奨学金を得ている学生)がそうでない学生と同じ成績を収めるというような、修学レベルの底上げ(close attainment gap)効果を訴える発表が多く見られました。また、視覚障害など何らかの学習障害を埋め合わせる教材としてOERを用いた事例発表もありました。

教育工学関連研究では、RISE Frameworkという教材の使われ方(LMS上のページビュー)と成績(テストの回答)の相関を見ることで、教材改善が必要な部分を見定めようという考え方について発表がありました。こちらは学会誌でも公表されています。(モデルとしては少し弱いように、個人的には感じましたが)

The RISE Framework: Using Learning Analytics to Automatically Identify Open Educational Resources for Continuous Improvement | Bodily | The International Review of Research in Open and Distributed Learning http://www.irrodl.org/index.php/irrodl/article/view/2952

おしなべて、参加者の割合がオープン教科書を導入した、もしくはこれから導入をしようとしているカレッジ(二年制大学)の教員や図書館員が大半を占めるようになったこともあるのか、学会の内容がOERの基本と事例を知る初学者向けのものになってきました。最近は関係者の努力もあり、研究面での取り組みは論文誌やブログ等で随時発信されるようにもなったことから、私自身の参加は今年度で一旦区切ってもよいかな、と思っています。

最後に、米国を中心としたオープンエデュケーションに関する研究および最新事例を取得できる情報源をご紹介します。また、私が代表を務めている日本教育工学会(JSET)のSIG-05が運営するナレッジフォーラムでも、オープンエデュケーションに関する事例や研究リソースを公開しておりますので、ぜひ活用ください。

JSET SIG-05 ナレッジフォーラム – ゲーム学習とオープンエデュケーションに関する研究リソース集・事例集
http://jset-sig-gbloe.cloudblog.jp/

The International Review of Research in Open and Distributed Learning http://www.irrodl.org/index.php/irrodl/index

iterating toward openness – pragmatism before zeal :: celebrating 20 years of open content
https://opencontent.org/blog/

Open Education Group – Socially responsive research that concretely improves society
https://openedgroup.org/

OER Hub – Researching Open Education
http://oerhub.net/






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