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このサイトは重田勝介の個人サイトです。主に日々の活動について紹介しています。重田は教育工学とオープンエデュケーションの研究者で、北海道大学に勤務しています。詳しいプロフィールこちら
Katsusuke Shigeta Ph.D (Human Sciences at Osaka University) , a researcher conducting educational technology & open education research at Hokkaido University, Japan.

2012/03/03

EnCampに参加:学習プログラム担当者としての感想

3月1日、2日と、「EnCamp」に参加しました。
私がゲストとして出させて頂いている、中原研究室の春合宿の枠で行われたイベントです。様々な大学から多くの学生・教員・ゲストが集まり、大変な盛会となりました。参加されたみなさん、楽しかったですね。お疲れさまでした。

EnCamp
http://www.facebook.com/EnCamp2012

私は、3つあった学習プログラムの1つ「研究方法論」の準備と運営に関わりました。去年の春合宿では、助教が学生に対して研究方法論などを教える「学習プログラム」を担当していたので、あるテーマ(実験計画法など)の講義と学習活動を一人で考えていました。今年のEnCampでは、学生が主導となって講義と学習活動を考えたので、私は文献を紹介したり、講義内容に助言したり、学習活動のアイデアを出したりなどのお手伝いをすることになりました。準備から当日までの間、いくつか感じたことについて書きたいと思います。

・一つのテーマをじっくり扱う時間構成はうまくいった
学習プログラムでは、エスノグラフィ・単一事例実験法・アクションリサーチ・デザイン実験、の4つを扱うことが決まっていましたが、最大の懸念は与えられた時間が2時間しかないことでした。参加者が4つのうち1つの方法論しか学べないのではもったいないので、4つの方法論についての講義を全員に連続して行うことも検討しましたが、そうすると1つの方法論あたりの講義時間が十分とれません。

リーダー脇本さんのアイデアで、最初の30分で4つの方法論の概要と特徴について、担当者が入れ替わりながら簡潔に説明した後、参加者が興味を持ったグループを選択する形式としました。全員に4つ全ての方法論を伝えることは叶いませんでしたが、参加者の反応を見ていても、最初の30分の概説を入れたことで、折衷案としてはうまく機能していたのではと感じました。これは偶然ですが、この前のプログラムの進行方法は対照的な形式だったため、緩急のついたプログラムの組み合わせになったことも幸運でした。

・各グループの講義と学習活動も比較的好評だった
私が準備から最も主体的に関わったのは、エスノグラフィのグループでした。私自身エスノグラフィの経験が乏しく不安でしたが、担当の保田さん・伊澤さんが方法論をよく勉強されていて、分かりやすいスライドによって講義がされていました。今回あえて、エスノグラフィの「データと記述」「プロセス」に絞ったことで、内容をシンプルにすることができました。ただデータの構造化の手法など、今回取り扱えなかった要素もあったため、文献紹介などフォローアップが必要かもしれません。

エスノグラフィに限らず、他のグループの講義と学習活動も、大変よく練られたものでした。準備にはほぼ一月が費やされており、担当者の費やした努力は並々ならぬものでしたが、参加者は学習プログラムを楽しんでいたようで、苦労が報われました。

・参加者への「おもてなし」とゼミ合宿の「学び」
学習プログラムの準備段階での懸案の一つは、参加者が多様なため、興味対象や既有知識の見積もりが難しかったことでした。議論の結果、学部生レベルでもある程度は理解できるように、図をできるだけ多く使う、学術的なキーワードをわかりやすいものに言い換える、などの工夫がされました。担当者は扱うテーマについて理解することと同じくらい、このことに時間を使いました。このような工夫をする中で、担当者の方法論についての理解がより深まったようにも感じられました。

ゼミメンバーだけで行う合宿とは異なり、広く参加者を募る場合、場の「ゲスト」を「ホスト」がもてなす「おもてなし」の構えが生まれます(これは、場の学びが相互貢献を前提としていても変わりません)。全ての参加者によりよい時間を過ごしてもらうために、「ホスト」は自らの成果と同時に、全員の成果を高める努力を行います。この「おもてなし」をどこまで追求するかは、ゼミ合宿に何を求めるかに関わる問題です。これは学習プログラムだけに限ったことではないかもしれませんが、多様な人々が集まる「学び」の場をいかに成功させるかが、EnCampを通して一つの大きなチャレンジだったように思えました。