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このサイトは重田勝介の個人サイトです。主に日々の活動について紹介しています。重田は教育工学とオープンエデュケーションの研究者で、北海道大学に勤務しています。詳しいプロフィールこちら
Katsusuke Shigeta Ph.D (Human Sciences at Osaka University) , a researcher conducting educational technology & open education research at Hokkaido University, Japan.

2010/02/22

あと二週間:形からでなく、原理から学ぶ

帰国まであと二週間となりました、早いものです。最近は引越しの準備、研究の仕上げを進めています。今月は学会に参加したほかは、私のいるETSに関する資料整理、スタッフや元ディレクターへのインタビューに追われています。予定ではあと2回インタビューがあり、そのあと原稿が書き上がれば、滞在も終わりです。

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今日はこちらで知り合いになった方のラボを訪ねました。彼女はターシャさんといい、UCBでバイオメカニクス、その中でも昆虫の歩行の研究をしています。まだ二十代前半ですが、既に研究者として独り立ちをしている大変優秀な方です。

ラボのWebSite:Poly-PEDAL
http://polypedal.berkeley.edu/cgi-bin/twiki/view/PolyPEDAL/WebHome


そこで昆虫の動きや筋肉(!)を計測する機材を見ながら研究の話を聞いたのですが、そこに昆虫のロボットがありました。最近は研究成果を活用して、災害援助や人名救出を人の代わりに行うロボットが企業や軍により開発されているそうです。ロボットの写真を、その働きをまねた昆虫と並べたポスターを見ていると、二つの足の数は多少似ているものの、足の構造や動かし方が全く違うことに気がつきました。

不思議に思い理由を尋ねてみると、昆虫の歩行をロボットに当てはめるとき、形状を真似るのではなく、彼らの歩行する仕組みをモデル化し適用させるのだそうです。というのも、昆虫とロボットでは足の数こそ同じでも、体を構成し、それを動かす素材が全く違います。加えてロボットの場合は、目的に応じた環境(走行路面など)に最適化したり、カメラや救急箱など機材を載せることもありますから、昆虫の仕組みをそのまま当てはめてもいいロボットができないとのことでした。一部の企業では形を完全に真似て原理を理解しようとしなかったりもするそうですが。

この話は私にとって、とても励まされるものでした。私はUCBで、大学コミュニティのEducational Technology(「教育工学」とは訳しづらい)利活用を包括的に支えるETSという組織に魅了されました。そして私はいま、その組織の形やシステムを知るだけでなく、それがいつ、なぜ、どのような理由で、何を目指して作られたのかを明らかにすることに焦点を当てています。それは、仮にここで知り得たことをどこかで役立てるとき、形や機能だけをまねるのではなく、その原理やモデル、それが作られた背景を知ることで、異なる環境、新しい状況により意味のある形で適用することができるはずだ、と信じているからです。

違う場所でも、同じようなことが言える。そんな嬉しい体験をした一日でした。休日にも関わらずラボを案内してくれたターシャさん、ありがとうございました。