2009/09/11

At Cal Day25: webcastの収録を見学、「仕組み力」について

昨夜のお熱は無事下がり、今朝も朝からESL。昼にFulbright Associationの昼食会で、他のVisiting Scholarとお会いする。日本からこられている山田さん、堀江さんとお会いする。日本人の研究者と面会できて安心。

午後はwebcast.Berkeleyの講義収録を見学。東大でも東大TVや東大Podcasts、UT OCWで講義映像を配信していますが、東大でほぼ全て人手でしている作業を、UCBでは全てのフローが自動化されています。いくつかの教室に「講義収録パッケージ」がインストールされていて、その場で映像をエンコード、アップロードしています。最終確認の作業を専門のスタッフがすますと、UCBのサイトやiTunes U、YouTubeに自動的にアップロードされます(Youtubeのみ現時点で一部手動)。

webcast.berkeley | UC Berkeley Video and Podcasts for Courses & Events
http://webcast.berkeley.edu/

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機器の構成、マニュアル、学生スタッフの育成など参考になる部分が多々ありました。こちらで書く予定のレポートのデータになりそうです。
面白かったのは、講義中学生さんから質問があった時、その声を集音していないのですが、その代わり講師が質問内容を繰り返すようにしていたことです。今日見学した講義は500人以上入る大教室だったので、その方が効率が良いとの判断でしょう。明日は、webcast.Berkeleyのpublishingの管理をしているスタッフにインタビューする予定です。

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海部美知さんの”Tech Mom from Silicon Valley”に興味深い記事があったので、転載。

憂うべきは「カリフォルニアの教育」か「日本のアニメ産業」か - Tech Mom from Silicon Valley
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090902


上記の記事などを読むと、確かにきっと、日本で「個人の努力」レベルで頑張っている方々は優秀なのだろうが、相変わらず「長期的に産業として成り立たせる仕組み」「新しいアイディアを生み出す仕組み」「人材を供給する仕組み」「グランドデザイン」といったものは、アメリカのほうがなんだかしっかりしているような気がしてしまう。悪いけど、「竹槍・・・」という言葉が頭をかすめてしまう。


私の仕事領域においても、近いことが言えるような気がします(自分の仕事環境を振り返ってみても)。ある仕事を長い間個人の努力のみで保たせてしまうと、本人が大変苦労することは勿論ですが、業務知識が暗黙知になりやすく周りと共有しずらくなり、ひいてはその業務を「引き継ぐ」人材を育成しにくい、などの弊害も考えられます。

私見ですが、「仕組みをつくる力」(勝手に「仕組み力」と命名)をお持ちの方は日本にも沢山おられます。これまでもそのような方々に何度もお会いしました。それらが形にならなかったのは、多くの場合、その「見せ方」と、それを選ぶ側の「目利き」に不足があったように感じました。つまりこれは個人の能力の問題だけでなく、それを取り巻く組織のインテリジェンスと意思決定の問題でもある気がします。