2009/08/08

教材は人を暖め、時に冷ますのか:ラーニング・アロン 通信教育のメディア学

今週半ば、偶然大学生協の図書館でこの本を見つけました。そして今の今まで、その存在を知らなかったことを、深く恥じ入りつつ、週末を迎えました。



かつての通信教育からeラーニングまで、20世紀全般にわたる国内外の歴史がまとめられた一冊です。資料として、解説書として、まさに必読。
本の題名で検索すると、尾澤先生(大分大学)が出版された直後に読んでおられました。さすが、脱帽。先生のレビューも同じく必読です。

おざわ日記 全国版
読書メモ(断片):『ラーニング・アロン 通信教育のメディア学』(eラーニング、ベネッセ、Z会…)
http://www.aftertone.com/diary/2008/06/ez_49c2.html

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本書は、通信教育によってもたらされたいわゆる「個別学習」が、社会的視座からどのような変化を起こしうるのだろうか?と問いかけています。例えば著者らは、通信教育が日本のある時期において、学ぶ意欲(やそれに連なる立身出世)に火をつけた一方、その難しさが意欲に「冷却の役割を果たした」と論じています。

ビデオで配信された大学の講義をiPodで見て、「あーこれは難しいわ。ちょっと僕には無理かな…」と思った経験。この時私は、自分の「やる気」が冷やされた、という感覚を持ちませんでした。その原因は、私の中に無意識に、時間をかけて埋め込まれたドグマにあったのかもしれません。そんなことを、不意に気づかされる一冊です。